20代でインプラントを受けた人の割合は?インプラントを受けるデメリットも

「学生時代からの虫歯の影響で、最近歯が欠けてしまい、自信を持てない。しかし、20代という若い年齢でインプラント手術を受けることはリスクがあるのでは?」そのような不安からインプラント手術を受けることに対して躊躇してしまっている方は、少なくありません。 この記事では、20代でインプラントを受けた人の割合や若いうちにインプラントを受けるデメリット、インプラントが向いている人の特徴などを紹介します。

更新日:2024/10/17

■目次

  1. 20代でインプラントを受けるデメリットはある?
  2. 治療費用が高額
  3. 定期メンテナンスに通う必要がある
  4. 外科手術が必要になる
  5. 20代でインプラントが向いている人とは?
  6. 見た目の美しさを重視する
  7. より自然な噛み心地を求めている
  8. 天然歯をできるだけ削りたくない
  9. お口の中全体の健康を意識している人
  10. コストパフォーマンスを重視している人
  11. まとめ

20代でインプラントを受けた人の割合は?

厚生労働省の「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」によると、20代でインプラント装着者の割合は25歳~29歳で2.6%です。

また、歯を失った人の割合は25歳~34歳で15%です。歯がなくなった時の選択肢としてインプラントのほかにブリッジや入れ歯がありますが、インプラントを適応した人の割合は高くありません。

インプラントは入れ歯やブリッジと比べ、より自分の歯に近い審美性や噛み心地が再現できるなどのメリットがありますが、公的医療保険が適用されないという特徴があります。

参考:令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要

20代でインプラントを受けるデメリットはある?

インプラントは自分の歯(天然歯)に近い機能面や、審美性の回復が可能であるという大きなメリットのある治療方法です。しかし、優れた治療にもデメリットが必ずあります。

インプラントのデメリットをチェックしましょう。

治療費用が高額

インプラント治療のデメリットとして、基本的に公的医療保険が適用されないために治療費が高額になる傾向があります。医院やお口の中の状態によって価格が異なりますが、インプラントは1本約300,000~400,000円です。

2024年8月 株式会社メディカルネット調べ

定期メンテナンスに通う必要がある

インプラント治療後は定期的にメンテナンスに通う必要があります。メンテナンスの頻度は医院によって異なりますが、3ヶ月から半年に一回通います。

インプラントの定期メンテナンスをサボってしまうと、お口の中にプラークが溜まりやすくなり「インプラント周囲炎」を引き起こす可能性があります。

インプラント周囲炎になると歯肉が腫れる、歯肉が赤くなる、インプラントがグラグラする、最悪の場合はインプラントが抜けてしまうこともあります。お仕事が忙しい人の場合は、定期メンテナンスがデメリットに感じてしまうかもしれません。

外科手術が必要になる

インプラントはあくまでも外科手術です。インプラント1本あたり15分から30分と時間はかかりませんが、外科手術である限りリスクは0ではありません。手術前には副作用の説明をしっかりと受けましょう。

また、恐怖心が強い場合は笑気ガス鎮静法や静脈内鎮静法が使われることがあります。

20代でインプラントが向いている人とは?

インプラントが向いている人の特徴を見ていきましょう。

見た目の美しさを重視する

失った歯を補う治療方法の中でも、インプラントは審美性に優れていることで知られています。見た目の美しさを重要視するのであればインプラントが適しているでしょう。

歯を失った場合の他の選択肢(ブリッジや入れ歯)の場合は、装置が変色したり、外から金具が見えてしまったりするなど、審美性が大きく落ちる場合があります。

審美性を重視する人にとっても、インプラントはニーズに合致した治療法となることでしょう。

より自然な噛み心地を求めている

天然歯のような自然な噛み心地で食事を楽しむことができるのは、インプラントの大きなメリットです。歯は1本失っただけで噛む力が大幅に低下し、適切に咀嚼できないため消化にも大きな問題を引き起こすことがあります。インプラントは咀嚼能力が高く、天然歯に近い噛み心地で食べ物を味わうことが可能です。

また、発音の際に本来の自分の歯に近い感覚を保てるため、会話の場面で違和感を覚えることは少なくなります。食事や会話を本来に近い感覚のまま楽しめることは、インプラント治療の大きなメリットといえるでしょう。

天然歯をできるだけ削りたくない

インプラントは基本的に周りの歯を削る必要がなく、大切な天然歯をできるだけ残すことができます。同じく失った歯を補う治療法であるブリッジを導入する場合は、失った歯の両端の天然歯を削る必要が出てきます。

歯は一度削ると弱くなってしまうため、健康な他の歯に負担がかかる事態を引き起こしてしまう可能性があります。

お口の中全体の健康を意識している人

インプラント治療はネジを顎の骨に直接埋め込むかたちを取るため、他の歯に負担がかかることはありません。お口の中全体の健康に気を配っている人にとっては、インプラントが適した治療法になるかもしれません。

コストパフォーマンスを重視している人

インプラント治療は費用が高額になる一方で、ブリッジや入れ歯よりも平均寿命が長い傾向です。

具体的にはお口の中の状態によって異なりますが、入れ歯の寿命は4~5年、ブリッジの寿命は7~8年ほどとされています。10~15年以上にわたって使い続けられる可能性のあるインプラントは、コストパフォーマンスを重視する人にとっては、とても魅力的な選択肢でしょう。

まとめ

20代でインプラント治療を受ける人の数は、多いとは言えません。若年層の場合、費用面から躊躇している方が少なくないのではないでしょうか。

公的医療保険の適用外とはなるものの、インプラント治療は審美性や機能性に優れている治療方法です。

何らかの理由で天然歯を失ってしまった場合は、入れ歯やブリッジだけではなくインプラントもしっかりと選択肢に入れたうえで決めるようにしましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開