■目次
- インプラントの歯医者を選ぶポイント11選
- 選び方①カウンセリングや問診が丁寧か
- 選び方②料金体系が明確になっているか
- 選び方③取り扱うインプラントメーカーにこだわっているか
- 選び方④検査設備が充実していて衛生管理も徹底されているか
- 選び方⑤保証制度がしっかりしているか
- 選び方⑥通いやすい場所にあるか
- 選び方⑦症例数・実績が豊富か
- 選び方⑧インプラント以外の治療知識にも精通しているか
- 選び方⑨歯科医師との相性
- 選び方⑩学会や研修会に所属・参加しているか
- 選び方⑪スタッフの質が高いか
- インプラント治療で歯医者選びが重要な5つの理由
- ①神経を傷つける恐れがあるから
- ②インプラントが脱落する場合があるから
- ③上顎洞(じょうがくどう)への侵入リスクがあるから
- ④被せ物が取れることがあるから
- ⑤インプラント周囲炎になるケースがあるから
インプラントの歯医者を選ぶポイント11選
インプラント治療を受けるにあたって歯科医院を選ぶ際のポイントを紹介します。
選び方①カウンセリングや問診が丁寧か
最初に行われるカウンセリングや問診の内容は、歯科医院を選ぶうえで重要なポイントです。担当医師が患者さんの話をきちんと聞き、専門用語を多用せずに丁寧でわかりやすい説明を行ってくれて、しっかりと患者さんの目を見て話してくれる歯科医師は信頼しやすいです。
選び方②料金体系が明確になっているか
インプラント治療は基本的に自費治療です。治療期間が長く、費用も高額です。料金体系がわかりにくい歯科医院で治療を受けると後になって治療中の追加料金が発生する、予想よりも費用が高額であった、などのトラブルが発生する可能性もあります。費用に関する説明が最初に適切に行われているかどうかは安心して治療を受けるために重要です。
選び方③取り扱うインプラントメーカーにこだわっているか
インプラントには多くのメーカーが存在し品質も様々です。信頼性の高いメーカーのインプラントを取り扱っている歯科医院であれば、治療後の再治療や保証も受けやすいです。インプラントメーカーにこだわっている歯医者であれば、治療のクオリティにも信頼が持てます。
選び方④検査設備が充実していて衛生管理も徹底されているか
検査設備が充実しているかどうかも、歯医者を選ぶうえで大切な要素です。CTスキャナーは三次元画像で骨の状態を把握することができます。インプラントの治療精度を高めてくれるCTの有無は重要な評価基準です。また、歯医者の衛生環境は手術に伴う感染リスクに影響を及ぼすため衛生管理が徹底しているか否かについても確認しておきましょう。
選び方⑤保証制度がしっかりしているか
治療技術や品質に自信がない歯医者の場合、治療に伴う保証を手厚くします。保証制度の有無に加えて、保証期間の長さも、歯医者の治療に対する自信や、患者さんに対する誠実さを推し量る材料の一つになるでしょう。
インプラント治療はあくまで自費診療のため保証制度の内容がすべての歯医者で共通しているわけではありません。インプラント治療を受ける前には保証制度の内容、期間、適用条件などをしっかりと確認しておきましょう。
選び方⑥通いやすい場所にあるか
インプラント治療は、お口の中の状態によって個人差があるものの半年程度の長い治療期間が必要になります。歯医者が家から近い位置にあれば、より治療が継続しやすくなるでしょう。立地的な観点における通いやすさも軽視できません。
選び方⑦症例数・実績が豊富か
公益社団法人 日本口腔インプラント学会が2015年に調査したデータによると、患者さんが「実績がある歯科医」を選択するのが45.0%と最も多くなりました。インプラント治療には「骨造成」という高度な技術が必要な手術を伴うケースもあるため、症例数や実績の多さは歯科医師の技量を判断するうえで重要になります。
引用元:公益社団法人 日本口腔インプラント学会
選び方⑧インプラント以外の治療知識にも精通しているか
インプラント治療を行う歯科医師は、インプラントそのものの知識だけでなく、お口の中全体の健康についても考えて治療する必要があります。治療後に適切なお口のケアを行い、歯周病などの管理が必要なため、インプラント以外の技術にも精通した歯科医師のもとで治療を受けることが望ましいです。
選び方⑨歯科医師との相性
インプラント治療は担当医と長い期間にわたって付き合います。歯科医師の人柄、話しやすさ、好印象など、自分との相性の良さもチェックするべきです。
選び方⑩学会や研修会に所属・参加しているか
医療現場は進歩し続けているため、医師にとっても知識や技術のアップデートは不可欠です。学会や研修会に所属・参加している歯科医師であれば、適切なフィードバックを受けている可能性が高いです。学術大会への参加などが条件に含まれている専門医資格の有無も含めて、担当医が学会や研修会などに参加して研鑽しているかを確認しておくとよいでしょう。
選び方⑪スタッフの質が高いか
インプラント治療は長い期間がかかるため、担当の歯科医師だけでなくスタッフの善し悪しも重要です。スタッフ同士の関係が良好に見えるか、職場の雰囲気が悪くないかなども、患者さんの精神的な負担に影響を及ぼすこともあるでしょう。
インプラント治療で歯医者選びが重要な5つの理由
インプラント治療で歯医者選びに失敗すると、場合によっては取り返しのつかない事態を招いてしまうかもしれません。インプラントにおける歯医者選びが特に重要である主な理由を見てみましょう。
①神経を傷つける恐れがあるから
インプラントを埋め込む手術でミスが起こると「下歯槽神経(かしそうしんけい)」と呼ばれる部分の神経が傷つく恐れがあります。歯科用CTを使用せず、歯、血管、神経の位置を正確に把握しないまま治療を進めてしまうリスクを少しでも下げるため設備が整った歯医者で治療を受けることにより、不測の事態を未然に防ぐ可能性が高まるでしょう。
②インプラントが脱落する場合があるから
インプラント体の脱落は、治療後のトラブルの中でも特に発生しやすいものです。手術の際に器具(ドリル)のオーバーヒートが起こってうまく生着しない、インプラントを埋め込む際の位置、角度、深さが適切でない場合に脱落リスクが高まります。
③上顎洞(じょうがくどう)への侵入リスクがあるから
上顎は下顎に比べて骨の壁が薄いため、構造を正しく把握せずに強引にインプラントを埋め込むと、「上顎洞」と呼ばれる空洞にインプラント体がはみ出て脱落することがあります。インプラント体が完全に上顎洞に入った場合、再手術で摘出を行う必要が生じる可能性もあるため、治療精度は大切です。
④被せ物が取れることがあるから
インプラント体は、土台となる部分と被せ物の部分に分かれています。2つを連結する「アバットメント」と呼ばれる装置の部分の固定が十分でなかったり、歯の噛み合わせが悪かったりすると、固定しているスクリューが緩み被せ物が取れてしまうことがあります。被せ物が外れる事態を避けるためにも、定期的な診察は不可欠です。
⑤インプラント周囲炎になるケースがあるから
インプラント周辺の組織が細菌に感染して炎症が起こると、インプラント歯周炎が発生します。インプラント周囲炎の主な原因はメンテナンス不足であり、症状が悪化するとインプラントが脱落する可能性があります。日々の歯磨きだけでなく、経過観察における歯医者でのクリーニングも重要になるため、術後の診断も治療の成否を大きく左右します。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開