■目次
- セカンドオピニオンとは
- セカンドオピニオンを求めた人の割合
- インプラント治療の際にセカンドオピニオンを求める4つのメリット
- 主治医の診断が他の医師と異なる理由が分かる
- 治療費を比較できる
- 設備や保証制度の違いを確認できる
- 治療の選択肢を広げられる
- インプラント治療でセカンドオピニオンを受けるには【4STEP】
- STEP①担当医の説明をよく理解する
- STEP②セカンドオピニオンを受ける歯科医院を探す
- STEP③担当医にセカンドオピニオンを受けることを伝える
- STEP④質問事項を整理する
- セカンドオピニオンを求める際の3つの注意点
- 歯科医院ごとに費用は異なる
- 主治医に内緒でセカンドオピニオンを受けないようにする
- 最後は自分で判断する
- まとめ
セカンドオピニオンとは
セカンドオピニオンとは、「担当医とは別の医師に、診断や治療内容について意見を求めること」です。
治療をしていると、担当医の治療や診断に疑問を感じたり、不安になったりすることもあるでしょう。そんな時に、疑問や不安を別の医師に相談できるのがセカンドオピニオンです。「今の自分の状態を診て、担当医以外の歯科医師ならどういう診断をし、どういう治療方法を提案するか」を聞くイメージを持つとよいでしょう。
「担当医がこういう治療をしているが医療ミスではないか」「提示された費用が適切か」「担当医に費用を返金させたい」などの相談とはまた異なるので注意してくださいね。
また、セカンドオピニオン=転院ではありません。転院を前提にする相談はセカンドオピニオンではなく、転院相談・再治療相談ということになります。セカンドオピニオンをしたら必ず転院しなければいけないわけではありません。
もちろん、セカンドオピニオンを聞いて、担当医よりもセカンドオピニオンの診断や治療法のほうがよいと思った場合は、転院を希望することも可能です。
セカンドオピニオンを求めた人の割合
厚生労働省の「平成23年受療行動調査」によると、「セカンドオピニオンが「必要だと思う」と回答した人のうち、実際にセカンドオピニオンを「受けたことがある」と回答した人の割合は、外来が30.4%、入院患者が32.3%とのことでした。
セカンドオピニオンを受診する人の割合はまだ少ないですが、現在の治療に不安があり納得できる治療を受けるためにはセカンドオピニオンを検討してみてはいかがでしょうか。
※インプラント治療におけるセカンドオピニオンの受診割合を調べたデータではありません。
参考:厚生労働省
インプラント治療の際にセカンドオピニオンを求める4つのメリット
セカンドオピニオンを受けることに躊躇う方も少なくないですが、セカンドオピニオンを受けることには4つのメリットがあります。
主治医の診断が他の医師と異なる理由が分かる
インプラント治療には高い専門性が求められ、歯科医師の知識量の違いや使用する器具の違いにより、同じ所見でも歯科医師によって診断結果が異なる場合があります。インプラント治療ができないと診断された方が別の歯科医院では治療できると診断されたりするなど、さまざま治療内容について見解が異なることも考えられます。
自分が受けている治療が適切かどうかなど担当医の診断に不安を感じた場合に、別の歯科医師に診断してもらい担当医と同じ結果になるのか、異なるなら異なる点を聞くことで判断しやすくなるでしょう。
治療費を比較できる
インプラント治療は基本的に公的医療保険が適用されません。自費診療といって全額患者さんの自己負担の治療で、費用は歯科医院が独自に決定することができます。
そのため、費用は歯科医院で異なります。インプラント治療について相談し、本当にこの治療費でいいのか?と思った時に、セカンドオピニオンに行くことで費用を比較することができます。
ただし、歯科医師の見解によって治療内容が異なれば、当然費用も異なります。治療内容と費用の両方を見比べるようにしましょう。
設備や保証制度の違いを確認できる
インプラント治療のための設備や治療に伴う保証制度の内容も、歯科医院によって異なります。セカンドオピニオンで別の歯科医院に行くことで、設備や保証制度の内容の違いを確認することができます。
通院したい歯科医院・通院している歯科医院と、セカンドオピニオンを受けた歯科医院と異なる点があった場合は、その点についてさらに詳しく確認しましょう。
治療の選択肢を広げられる
複数の歯科医師の診断を受け、治療方針を相談することで、担当医では出てこなかった治療の選択肢を提案してもらえる場合があります。インプラント治療は自費診療であり、歯科医師の技術によって治療内容が異なるため、より理想の治療方法が見つかるかもしれません。
場合によってはインプラント治療以外の選択肢を提案されることもあります。抜歯をしなくてはいけないと思っていた歯が、別の歯科医院では自費の根管治療によって残せると診断されるなど、治療自体が変わることもあり得ます。
インプラント治療でセカンドオピニオンを受けるには【4STEP】
セカンドオピニオンを受けたい場合は、4つのステップを踏むとスムーズに進めることができます。
4つのステップをみていきましょう。
STEP①担当医の説明をよく理解する
セカンドオピニオンを受ける場合は、まずは担当医(既に検査・診断・治療等を聞いた歯科医師)の診断結果や治療方針をよく理解する必要があります。担当医の治療をよく理解できていないと、セカンドオピニオンを受けても比較や検討ができません。
担当医の治療に疑問がある場合は、まずは担当医に直接疑問や不安を相談してみてください。そこでも疑問や不安がなくならない場合にセカンドオピニオンを検討しましょう。
カウンセリングや治療の時に聞いた内容はメモを取ってまとめておくことがおすすめです。検査資料などを共有してもらえるならもらっておきましょう。まとめておくことで、セカンドオピニオンを受けた後にスムーズに比較できるでしょう。また、セカンドオピニオンを複数件受けた際に、どこの歯科医院がどの意見だったかを確認することができます。
STEP②セカンドオピニオンを受ける歯科医院を探す
インプラント治療対応の歯科医院が必ずしもセカンドオピニオンに対応しているとは限りません。セカンドオピニオンを受けたい場合は、「セカンドオピニオンを受け入れている歯科医院」を探す必要があります。
ホームページや予約サイトを見ると、セカンドオピニオンに対応しているかどうか表記してあることがほとんどです。書かれていない場合は、事前に電話で歯科医院に問い合わせしましょう。
STEP③担当医にセカンドオピニオンを受けることを伝える
セカンドオピニオンを受けることを決めたら、担当医にセカンドオピニオンを受けると伝えましょう。言いづらいかもしれませんが、伝えることで「検査結果や治療の経過の資料を用意してもらえる」というメリットがあります。
検査結果などの資料を持っていかない場合は、セカンドオピニオンを受ける歯科医院で改めて検査を受けることとなり、費用が高くなる可能性があります。
セカンドオピニオンを受けると伝えづらい方もいるかもしれませんが、セカンドオピニオンを受けることは患者さんの権利であり、歯科医師は制限できません。もしも、セカンドオピニオンを受けると伝えたことで対応が悪くなるようであれば、転院を視野にセカンドオピニオンを受けるくらいの気持ちで進めましょう。
STEP④質問事項を整理する
多くの歯科医院は30分~60分の時間枠でセカンドオピニオンを行います。お口の中の検査、診察、診断などにも時間がかかるため、患者さんが質問できる時間は長くはありません。限られた時間で疑問や不安を相談するために、セカンドオピニオンで知りたいことを箇条書きにしてまとめておきましょう。
担当医の診断に対する意見が聞きたい場合は、診断内容や治療内容をまとめたものを用意しておき、セカンドオピニオンの歯科医師に読んでもらうとスムーズに伝わる可能性が高くなります。
セカンドオピニオンを求める際の3つの注意点
セカンドオピニオンを求める際には、いくつか注意すべき点も存在します。具体的な注意点としては、以下の3つが挙げられます。
歯科医院ごとに費用は異なる
セカンドオピニオンは無料ではない歯科医院が多いです。
治療行為ではないため公的医療保険は適用されません。インプラント治療同様、自費診療のため歯科医院によって費用が異なります。
また、セカンドオピニオンの内容も歯科医院によって異なり、患者さんから聞いた内容に答えるだけの歯科医院もあれば、治療前と同様の精密検査を行ってからカウンセリングを行う歯科医院もあり、HPなどで事前の確認が必要です。
主治医に内緒でセカンドオピニオンを受けないようにする
担当医に黙ってセカンドオピニオンを受け、「ほかの歯科医院ではこう言っていた」と急に話してしまうと、担当医との信頼関係に影響を与えてしまいます。信頼関係がなくなると、治療の内容に不満が出たり、歯科医師の対応に不安を感じることにつながります。
そういったトラブルを避けるためにも、事前にセカンドオピニオンを受けることは伝えておきましょう。
また、患者さん自身の認識だけをもとに、セカンドオピニオンを受けてしまうと誤った情報が伝わってしまい、セカンドオピニオンの結果自体が正確ではなくなる可能性も出てきます。事前に担当医とすり合わせをしておくことで、より効果的なセカンドオピニオンを受けることができます。
最後は自分で判断する
主治医とセカンドオピニオンの見解が異なる場合は、まずは自分の中でどちらがより納得できたか、どちらか自分自身の求める結果に近くなるかをよく考えます。セカンドオピニオンを受けて疑問や不安が出た場合、残っている場合はさらに相談をして疑問や不安をなくしていきましょう。そして、主治医にセカンドオピニオンの結果を報告し、その後の治療方針を相談していく必要があります。
家族や信頼できる人に治療を相談してもよいですが、実際に治療を受けるのは患者さん自身です。そのため、最後は自分自身で判断をして治療を決定しましょう。
まとめ
セカンドオピニオンとは、現在の担当医師以外の医師に対して、診断や治療方針について意見を求めることです。患者さんはセカンドオピニオンを受けることによって、より良い治療方法を見つけることができるかもしれません。
セカンドオピニオンを受けた後、どのように治療を進めていくかについては患者さんが自分自身で決めていくことになります。セカンドオピニオンを受ける理由や、治療において何を重視すべきかを考えたうえで、後悔のない選択をしていきましょう。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。