■目次
インプラント治療の指定研修施設とは
インプラント治療の指定研修施設とは、「公益社団法人 日本口腔インプラント学会」が定める条件をクリアした施設のことを指します。
日本口腔インプラント学会は、インプラントに関する研究発表や情報交換、会員同士の連携などによってインプラント治療の発展や向上を目的とした団体です。
歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士といった歯科関係者が会員の大半を占めています。
研修施設では、口腔インプラント治療学の発展と口腔インプラント医療の向上を目的として、研究や臨床研修を行っています。認定医になるには、指定研修施設への一定期間の在籍が必要です。
認定制度(資格)は、口腔インプラント指導医、口腔インプラント専門医、JSOI専修医があり、認定されるためにケースプレゼンテーションも課せられています。
口腔インプラント指導医とは
公益社団法人 日本口腔インプラント学会が設けている認定資格のひとつです。
指導医に認められた歯科医師は、 研修カリキュラムの作成や口腔インプラント 専門医及び研修施設に所属する歯科医師の指導などの業務を行えるようになります。
口腔インプラント専門医とは
口腔インプラント指導医と同様、日本口腔インプラント学会が設けている認定資格です。研修施設に通算して5年以上在籍、専門医教育講座を3回以上受講、ケースプレゼンテーション試験の合格など、さまざまな条件を満たすことで専門医と認められます。
JSOI専修医とは
日本口腔インプラント学会が設ける認定資格のひとつです。研修施設に通算して2年以上在籍、2年以上経過した5症例を提出、ケースプレゼンテーション試験への合格などの条件を満たすことで認められます。
ケースプレゼンテーション試験とは
専門医やJSOI専修医を取得するには、ケースプレゼンテーション試験に合格しなければなりません。
ケースプレゼンテーション試験では、歯科医師自身が実際に担当した症例を論文や資料等にまとめて発表し、合格する必要があります。
指定研修施設の認定条件
指定研修施設は、下記の条件をすべて満たす必要があります。
・口腔インプラント指導医が在籍している
・歯科医師研修医制度における指導歯科医が在籍している
・学会が定める口腔インプラント学カリキュラムにもとづき、口腔インプラント専門医、口腔インプラント指導医、口腔インプラント基礎系指導医(者)や委員会が認めた者によって定期的に講習が行われている
・研修の実施に必要な設備が整っている
5年ごとに更新が必要
指定研修施設の認定は永続的なものではなく、5年ごとの更新が必要です。
インプラント治療を受けるときの歯科医院の選び方
歯科医院を選ぶ際の7つのポイントを紹介します。
指定研修施設への在籍経験がある資格保有者か
日本口腔インプラント学会が制定する資格の中には、一定期間、指定研修施設に在籍することが条件なものもあります。
指定研修施設は口腔インプラント指導医らが在籍していたり、定期的に講習が行われたりしています。指定研修施設への在籍経験がある有資格者は、インプラント治療に対する豊富な知識と経験が一定水準あるといえるでしょう。
治療前のカウンセリングは丁寧か
インプラント治療で大切なことのひとつに、患者さんとのカウンセリングがあります。カウンセリングはただ治療内容を説明するだけでなく、患者さんの悩みを聞いてどのような治療が適切であるかを提案することも含まれます。
カウンセリングを通じて患者さんとの信頼関係を築くことも大切です。ていねいなカウンセリングを行っている歯科医院であれば、患者さんも不安や疑問について相談しやすいでしょう。
治療費の説明は明確か
インプラント治療は基本的に自費診療であり、歯科医院によって費用が異なります。治療前に費用に関する説明が不十分だと、治療途中・治療後にトラブルに発展することもあります。治療にかかる費用を明確に提示できる歯科医院かどうか、歯科医院選びで大切です。
インプラント治療以外のことも詳しいか
単に手術の技術だけでなく、お口の中のことを総合的に熟知している歯科医師が望ましいといえるでしょう。というのも、インプラント治療はただインプラントを入れるだけにとどまらず、歯周病や噛み合わせの知識も必要です。
定期的に研修会や勉強会に参加しているか
インプラント治療は、現在も進歩を続けている治療分野です。
より適切な治療を続けていくには、歯科医師が知識をアップデートし、治療に活かすことが重要です。
学会に所属している歯科医師であれば、定期的に研修や学会に参加して新しい情報を吸収する機会があります。ウェブサイトのプロフィールに学会や研修に参加していることが書かれているかも確認して、歯科医院選びの参考にするのもよいでしょう。
CTなどの設備が充実しているか
インプラント治療では、骨の厚さや密度を把握することが大切です。手術時のトラブルを避けるために血管や神経などの位置も知らなければなりません。
歯科用CTといった設備が整っている歯科医院であれば、トラブルが起きたときにもすぐに検査を受けられるでしょう。
設備が整っていない歯科医院でも、提携医療機関において検査が可能であることが多く、治療を行う上で問題はありません。ただし、トラブルが起きた際に対応が遅くなる可能性があります。
スタッフの対応は良いか
インプラント治療を開始すると歯科医院に長期的に通院する必要があります。スタッフの対応が良いほうが良いでしょう。
歯科医師だけでなく、歯科医院のスタッフ全員の対応をみておきましょう。
歯科医師とスタッフとの関係性が悪いかどうかは、スタッフへの苛立ちや言葉遣いでわかるでしょう。もしもスタッフとの関係性が悪い場合、治療を続けていくうえで患者さんが不快になることも考えられます。歯科医院全体の雰囲気もポイントです。
まとめ
インプラント治療の指定研修施設とは、日本口腔インプラント学会が定める一定の条件を満たした施設のことです。インプラント治療の指定研修施設は、歯科医師がインプラント治療の技術習得や知識のアップデートができる場だといえるでしょう。また、指定研修施設資格は5年ごとに更新しなければならず、新しい情報をアップデートしていなければ施設として指定されません。
指定研修施設に指定されている歯科医院であるかを参考にしてみてはいかがでしょうか。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。