差し歯とインプラントの違いは?構造と治療期間について解説!

「歯が割れて大きく欠けてしまった」「急に歯が1本抜けてしまい、治療が必要になった」「調べてみたら『差し歯』と『インプラント 』という治療法が出てきたけど、この2つの違いって何?」 差し歯とインプラントは両方とも人工歯(被せ物)で噛み合わせや見た目を修正する治療法ですが、違いがあります。今回は、差し歯とインプラントの違いや具体的な特徴について、詳しく紹介します。 差し歯とインプラントのどちらにしようかお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

更新日:2023/09/04

■目次

  1. インプラントとは
  2. インプラントの構造
  3. インプラントの治療の流れと期間
  4. インプラントのアフターケア
  5. 差し歯とは
  6. 差し歯の構造
  7. 差し歯の治療の流れと治療期間
  8. 差し歯のアフターケア
  9. 差し歯とインプラントの値段と見た目の違い
  10. 差し歯1本の値段
  11. インプラント1本の値段
  12. インプラントと差し歯の見た目の違いは?
  13. まとめ
  14. 記事監修

インプラントとは

インプラントの構造

インプラント治療では、歯を失ってしまった場所に「インプラント体」と呼ばれる、チタン製のネジの形をした構造物(人工歯根)を埋め込みます。数か月経過した後、埋め込んだインプラントが顎骨(あごほね、がっこつ)にしっかりと結合したら、上から被せ物を取り付けます。

インプラントは入れ歯やブリッジを使った治療とは異なり、周りの歯に負担をかけないため、天然歯に近い見た目や噛んだ感じが得えられるでしょう。ただし、保険適用されずに自費治療と一般的になるため、治療費が高額になる点は注意が必要です。

インプラントの治療の流れと期間

インプラントの治療の流れは、以下の通りとなります。

1:初診・カウンセリング
2:検査・診断
3:治療計画の説明
4:インプラント体の埋入手術
5:仮歯の装着
6:被せ物の装着
7:定期メンテナンス

インプラントは顎の骨に直接埋め込んでいくことになるため、インプラントと骨の結合には時間がかかります。結合に要する時間は、個人差や上顎か下顎かなどの場所による違いがありますが、基本的にはおよそ3~6か月です。

また、結合したらそれで終わりではなく、そこから被せ物の処置を行う必要があります。そのため、治療には半年から1年かかることもあるでしょう。

インプラントのアフターケア

インプラント治療を受けた後には、歯ブラシや歯間ブラシを用いた口内ケアを行う必要があります。インプラントを良好な状態に保つためには、日々のケアが欠かせません。そのため、自宅で行うケアを怠るのは厳禁です。また、治療終了後の定期検診も重要です。

差し歯とは

差し歯の構造

虫歯の症状の進行に伴って歯の神経まで到達してしまうと、神経を取って被せ物をするために多くの歯質を削る必要があります。


神経を削り取った場所に「コア」と呼ばれる棒状の支台を差し込んで被せ物を装着するための土台を作り、土台の上から被せ物をすれば、安定します。歯の神経があった箇所にコアを立てて被せ物をするため、「差し歯」と呼びます。

差し歯の治療の流れと治療期間

差し歯の治療の流れは、以下の通りとなります。

1:初診・カウンセリング
2:検査・診断
3:(虫歯除去・)根管の治療
4:コアを入れる処置
5:コアおよび仮の被せ物の装着
6:最終的な被せ物の取り付けと噛み合わせの調整

まず初診時にカウンセリングを行い、患者さんの状態を検査し、必要があれば歯の神経を取り除く治療が開始されます。

加えて、実際に差し歯がつけられるまでに数回の通院が必須となるため、個人差や治療箇所によりますが、最低でも3回以上の通院が必要です。期間としては1ヶ月以上かかるかもしれません。

差し歯のアフターケア

差し歯には寿命が存在するのはご存知ですか?。保険が適用される治療を前歯で受ける場合は、変色しやすく耐久性も比較的低い硬質レジンを使うため、5年~10年が被せ物の寿命といわれています。自由診療であれば、セラミックやジルコニアなど、より耐久性や審美性に優れた素材を使えるため、寿命は10年以上もつこともあるでしょう。

差し歯が変色したり、取れやすくなってきたりした場合は、新しい差し歯に交換しなければなりません(保険制度上、2年間経過しないと新しい差し歯にすることができないです)。差し歯をできる限り長持ちさせるためには、自分自身でケアをしっかり行ったり、歯科医院に通って定期検診を受けることが必要でしょう。

差し歯とインプラントの値段と見た目の違い

差し歯1本の値段

差し歯には、治療時に保険が適用されるものと、保険適用外となるものの2種類があります。

保険適用内の差し歯に使用できる材料は、前歯なら「レジン」と呼ばれる歯科用のプラスチックや、奥歯だとパラジウムやチタンを使った金属です。最近ではCAD/CAM(セラミックとプラスチックの混合)も箇所や条件によっては保険適用になっています。

一方、保険適用外の場合は、陶器の材質の「セラミック」や人工ダイヤモンドの材質の「ジルコニア」を選択できます。そのため、差し歯の素材セラミックのみの「オールセラミック」、金を使った「ゴールド」、被せ物の外側がセラミックで内側が金属の「メタルボンド」、セラミックとプラスチックの混合である「ハイブリッド」(一部保険適用)などが適用可能となります。

金額としては、保険適用内の治療であれば、1本あたりの金額は3割負担で5,000円以上はかかるでしょう。ただし、保険適用外の場合は、1本あたりの金額が40,000~150,000円と、クリニックにより大きく異なり、治療費が高くなります。

インプラント1本の値段

インプラント治療は基本的に自由診療になるため、保険が適用されず、治療費は全額自己負担となります。相場としては、前歯・奥歯ともに、1本あたり30~40万円ほどが相場です。

その一方で、インプラントは医療費控除の対象になるため、治療費の一部が確定申告で還付されることにも留意しておきましょう。

インプラントと差し歯の見た目の違いは?

保険適用内の差し歯の場合は、金属の表面にプラスチック製のレジンで覆われています。この場合、周りの天然歯と色を合わせにくく目立ちやすい可能性があり、ある程度の年数が経つと劣化などで変色し黒ずんでくるなどのデメリットがあるんです。

保険適用外の差し歯であれば、セラミックやジルコニアを使用できるため、周囲の歯に色を合わせやすくなります。また、耐久性に優れ変色もほぼ起こらず、汚れも付きにくくなり、見た目が自然な仕上がりになります。

インプラントの場合は、人工歯根の上に付ける被せ物には、セラミックなどの保険適用外の素材が使用されることが多いです。自然な見た目を実現できることに加えて、変色しにくく汚れも付きにくくなります。

まとめ

差し歯とインプラントでは、治療手順・期間・法費用などが大きく異なります。現在の歯の状況を専門医にしっかりと診断してもらい、自分にはどちらの治療法が合っているのかについて、実際に相談してみるといいでしょう。

差し歯については、保険で治療を受けるか、どの材質を入れたいかなど、細かい部分の選択が可能です。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。