インプラントとMRIについて知っておくべきこと

インプラントが入っているとMRIの撮影ができないでしょうか? 当記事では、インプラントとMRIの関係性についてお伝えします!

更新日:2023/08/28

■目次

  1. MRIとは
  2. インプラントは歯科以外にも使われている
  3. 歯医者さんで行うCT撮影との違いは?
  4. インプラントをしている方がMRI検査を受ける時の注意点
  5. まとめ

MRIとは

MRI検査とは、磁気共鳴画像撮影法のことで
Magnetic(磁気)
Resonance (共鳴)
Imaging(画像)
の略称です。
強力な磁場を発生させて臓器や血管の状態を確認することができます。
そのため、磁力に反応してしまう金属が体内に入っている場合は撮影が不可能となります。

インプラントは歯科以外にも使われている

インプラントと聞くと、歯科治療を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
一方で、インプラントとは体内に埋め込まれるものを総称してそのように呼んでいるため、口腔内のインプラントを指しているとは限りません。
歯科で使用されているものはデンタルインプラントと呼ばれ、一般にチタンやチタン合金が使用されており磁気の影響を受けないため、お口の中に入っていてもMRI検査を受けることができます。

一方、MRI検査が受けられないとされているインプラントには下記のようなものがあります。

・心臓ペースメーカー
・金属製または可動性の義眼
・人工内耳
・神経刺激装置
・人工関節

これらの装置が体内に入っている場合はMRI画像を乱すだけでなく、身体にも深刻な悪影響を及ぼすことがあるため検査を受けることができません。

歯医者さんで行うCT撮影との違いは?

同じような大きな機器によって身体の内部を撮影するMRI撮影とCT撮影ですが、それぞれ原理や用途が異なります。
2つの撮影法の違いは以下の通りとなります。

MRI

Magnetic(磁気)
Resonance (共鳴)
Imaging(画像)

【原理】
磁気と電波を使用して身体の内部構造を画像にします

【放射線】
磁気とラジオ波を使用するので被ばくの心配はありません

【検査時間】
約15~60分と時間がかかります

【検査対象】
主に脳や神経、筋肉や靭帯などの柔らかい組織を画像化するのに適しています

【効果】
色の濃淡が非常に鮮明なため、病変がより明確にみられます

CT

Computed(コンピューター利用)
Tomography(断層撮影)

【原理】
エックス線を用いて身体の断層写真を撮影します

【放射線】
エックス線を使用するため多少ではありますが被ばくします

【検査時間】
5~15分と比較的短時間で撮影できます

【検査対象】
骨や肺、内臓など硬い組織を画像化するのに適しています

【効果】
0.5mm以下の小さな病変を見つけるのが得意です
MRIに比べて色の濃淡が若干弱いため、血管の状態を確認する場合は造影剤を入れて撮影することがあります

インプラントをしている方がMRI検査を受ける時の注意点

先程ご紹介したように、一般的な歯科用インプラントの場合はチタン製のものが多いためMRI撮影が可能です。
一方でインプラントオーバーデンチャーという磁石を使用した入れ歯があります。
その入れ歯を使用している場合は、お口の中に入れた状態で検査室に入ると機器の故障を招くことがありますので撮影前に取り外しておくことが必要となります。

まとめ

いかがでしたか?
インプラントと呼ばれるものには様々な種類があるため、歯科用インプラントもMRI撮影に影響を及ぼすと思われがちですが、一般的な歯科用インプラントの場合は特に撮影に支障がでることはありません。
心配な方は事前に医師や歯科医師へ相談し、安心して検査を受けていただけますと幸いです。

記事監修

記事監修:古川雄亮
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開