■目次
インプラント治療を受ける前に知っておきたいこと
まず、歯科で受けるインプラント治療を説明しますと、チタンを主成分とした合金のネジを顎の骨の中に埋め入れて、ネジの上に被せ物を装着して物を噛めるようにする補綴 (ホテツ) 治療です。
虫歯、歯周病、外傷などで歯が無くなった後に受ける治療の一つ。インプラント治療は入れ歯やブリッジによる治療と異なり公的医療保険が一般的に適用されないので高額です。自由診療になるため、歯医者さんごとに値段設定が異なります。
インプラント治療を行う歯科医師の経験やスキル
インプラント治療を提供している歯医者さんは数が限られており、多く見積もっても全体の2~3割程度といわれています。インプラント治療を受ける歯医者さん選びで大切なのは治療実績や資格です。
インプラントの年間症例数や実績がどのくらいなのか、インプラントに関連する認定医や専門医を所有しているドクターが治療を担当するのか、顎の骨の厚みが薄いなどの問題でインプラント治療が難しいケースでも対応可能かなどをチェックすると良いでしょう。
インプラント治療を受けるためには事前に歯周病や虫歯の治療を受けることが必要になることもありますので、インプラント治療の実績や資格だけにとらわれず、幅広い知識や経験を有している歯科医師に治療をしてもらうことも安心ポイントです。
治療に関する説明が分かりやすいか
インプラント治療は多くの方に認知を得ていますが、治療の手順や費用まで詳しく知っている方は中々いらっしゃらないと思います。インプラント治療はどんな治療なのか、どのような手順で治療を進めていくのか、治療期間はどの位かかるのか、治療費はトータルでいくら位かかるのか、治療後のサポートはどうなっているのかなど患者さん個々のお口の状態に合わせて詳細に説明してくれる歯医者さんで治療を受けるのが良いでしょう。
また、糖尿病や骨粗鬆症をはじめとした全身疾患の状態や顎の骨の状態などでインプラント治療が受けられない場合、ブリッジや入れ歯、矯正歯科治療などのインプラント治療以外の治療方法も提案してくれる歯医者さんが良いでしょう。患者さんにとって最良の治療を提案してくれる歯科医師さんが担当してくれると安心ですよね!
設備の充実度
インプラント治療を行う歯科医師の実績は重要ですが、インプラント治療を行うためのオペ室が完備されている、検査のためにCTといった設備や機器が充実しているかも重要。特に、インプラントを埋入する際に、顎骨の厚みや埋入方向を確認することは術後の出血や神経麻痺を防ぐ上で大切です。
医院への口コミもチェック
歯医者さんの口コミも非常に参考になります。ネット上に掲載されている口コミやSNSの投稿を参考にしてみると良いでしょう。悪い口コミやSNSの書き込みが投稿されている場合にそれに対して歯医者さんが真摯に返答しているか否かはチェックポイントです。
また、 HPを見ることもおすすめします。どのような先生が働いているのか、どんな歯医者さんなのか、インプラントの治療費がどのくらいかかるのか、どんな症例が治療されているかなど公表されてますので、チェックしましょう。
保証がしっかりしているか
インプラントを入れるための費用が明瞭であることも大切ですが、アフターケアの充実も重要です。入れたインプラントがすぐに抜け落ちてしまっては元も子もありません。インプラント治療後の保証制度や保証適応の条件をしっかりと確認しましょう。
保証制度が適用される条件としてよくあるのが、インプラント治療後の定期検診です。インプラントの周囲は歯周病(インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎)になりやすく、治療後に定期検診を受けることは重要とされています。
歯医者さんによって保証内容が大きく異なるので、HPなどに記載されていることも多いので、気になる方はチェックしてみてください!
まとめ
インプラント治療は医療保険が適用されず、1本数十万円の治療費がかかる高額な治療です。高額であるからこそ、長持ちするインプラントを入れたいのは当然のこと。歯医者さんのインプラント治療の実績、評判、治療後の保証内容などをしっかりと確認してから治療を受けるようにしましょう。
また、ご自身のインプラントに関する知識を持つことも大切です。写真は香川県にある歯ART美術館というところで許可をいただいて撮影したものですが、美術館を通じてインプラントや入れ歯に関する知識が得られる変わった場所です。3億5000万円もする入れ歯が展示されていて見応えもあります。
本記事で紹介した内容を参考にしていただき、ご自身にとって理想の歯医者さんに巡り合うきっかけ作りになれば、嬉しい限りです。
画像提供:香川県 歯ART美術館 著者撮影
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。