インプラントと天然歯でブリッジをすることは可能?

歯が抜けた部分を補う治療のひとつにインプラントがあります。見た目が自然でしっかり噛めることがメリットといわれています。インプラント治療でネックになるのが価格の高さです。もし、複数の歯が抜けてすべてインプラントにするとなると、埋めた本数分のお金がかかります。

少しでも治療費をおさえるために、インプラントと自分自身の歯(天然歯)を被せ物でつなぐブリッジ治療を受けることはできるのでしょうか?

更新日:2023/05/22

インプラントと天然歯でブリッジをすることは可能?

■目次

  1. 複数の歯を失った場合のインプラント治療
  2. インプラントと天然歯でブリッジにすることってできるの?
  3. インプラントと天然歯でブリッジにすることのメリット
  4. インプラントと天然歯でブリッジにすることのデメリット
  5. インプラントと天然歯の違い
  6. まとめ

複数の歯を失った場合のインプラント治療

まず、ブリッジとはどのような治療方法なのかを確認してみましょう。

ブリッジは一般的に抜けた歯の両隣に歯が残っている場合に適応されます。
両隣の歯を土台として、失った歯の部分をダミーの歯を橋渡しするのがブリッジです。

土台となる歯を削らなければいけないのがブリッジの大きなデメリットです。
代わりに部分入れ歯のような金具が見えてしまうことはなく、強く噛めるというメリットがあります。

ブリッジは一般的に固定源が両方とも自分自身の歯のときに適応されますが、2本のインプラントを土台にブリッジ治療をすることもできます。

それでは、本題の天然歯とインプラントでブリッジの治療は可能なのでしょうか。

インプラントと天然歯でブリッジにすることってできるの?

インプラントと天然歯でブリッジにすることは、不可能ではありません。ですが、実際にはあまり推奨されていない方法です。

インプラントと天然歯でブリッジにすることで、埋入するインプラントの数を減らして治療費をおさえられたり、外科手術による身体への負担も小さくなるメリットはあるでしょう。

しかし、インプラントは天然歯のように自然な見た目で噛み心地も似ているといわれていますが、同じものではありません。
天然歯と顎の骨の間にある歯根膜と呼ばれるクッションのような役割の組織がありますが、インプラントは直接骨とくっついてクッションはありません。

インプラントと天然歯でブリッジにすると、歯根膜のクッションが無いインプラントに大きな負担がかかり、ダメになってしまう可能性があります。
歯かインプラントのどちらか一方がダメになるとブリッジも使えなくなってしまうため、天然歯とインプラントをブリッジにするのはダメになるリスクが高くなるといえます。

ですが、デメリットばかりではありません。
インプラントと天然歯でブリッジにするメリット・デメリットを知って、納得できるのであればインプラントと天然歯でのブリッジの治療を検討してみてもいいかもしれません。

インプラントと天然歯でブリッジにすることのメリット

・インプラントの埋入本数が減るため、治療費をおさえられる
・インプラントの埋入本数が減るため、外科手術の負担が軽減する
・金具を使う入れ歯を併用するよりも自然な見た目になる可能性が高い

インプラントと天然歯でブリッジにすることのデメリット

・インプラントと天然歯それぞれに大きな負荷がかかる
・検診を受ける頻度があがり、メンテナンスのコストが高くなる
・インプラント周囲炎などが起こるとダメになりやすい

インプラントと天然歯の違い

インプラント

インプラントは人工歯根を骨に埋入し天然歯と同じように強く噛めるというメリットがありますが、実は噛んだときの負担のかかり方には大きな違いがあります。

大きな違いは繰り返しになりますが、「歯根膜」の有無です。歯根膜とは天然歯に付着している弾力のある組織で、歯と骨の間に位置して噛み合わせの力を吸収するクッションのような働きをしています。
歯根膜は、噛んだときに上下左右にわずかに動きます。歯根膜の歪みによって噛んだときの力を分散させ、骨にかかる負荷を抑えます。

インプラント治療ではインプラント(人工歯根)の上に人工歯を装着しますが、歯根膜が存在しません。
インプラントで噛んだときの力は、インプランつと結合している顎骨に直接伝わります。
天然歯の歯根膜のように噛む時に微妙に動くという機能がないため、噛んだときの衝撃が分散されず顎骨へ伝わります。

このように、天然歯とインプラントとでは顎骨にかかる負担が異なります。
顎骨に負荷がかかりすぎるとインプラントの破折などのトラブルの原因となるため、この2つにブリッジを連結させる場合、噛み合わせの調整に留意してバランスよく負担がかかるようにする必要があります。

まとめ

インプラントと天然歯をブリッジで連結させるのは、コストをおさえるメリットもある一方で、インプラントへの負担がかかりすぎてダメになりやすいリスクが上がったり、メンテナンスのコストが高くなったりというデメリットがあります。

特にインプラントの場合は、インプラント周囲炎が起こるとインプラントが噛む力によって脱落しやすくなります。インプラントと天然歯とでは、歯を支えている顎骨にかかる負担の大きさが異なるため、噛む力の負担のバランスがよくなるように噛み合わせを調整する必要があります。

ただし、治療内容は患者さんのお口の中の状況や歯科医院の治療計画によって異なります。
天然歯とインプラントにブリッジを連結させる治療方法を望む、または検討してみたいという場合は、担当医に相談してみるとよいでしょう。

記事監修

記事監修:古川雄亮
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

【PR】フィリップス ソニッケアー
歯科専門家使用率NO.1

フィリップス・ジャパン

あわせて読みたい記事

メディア運用会社について

メディカルネット

株式会社メディカルネット(東証グロース上場)は、より良い歯科医療環境の実現を目指し、インターネットを活用したサービスの提供にとどまらず、歯科医療を取り巻く全ての需要に対して課題解決を行っています。

当サイト「インプラントネット」を通して生活者に有益な医療情報を歯科治療の「理解」と「普及」をテーマに、自分に最適な歯科医院についての情報や、歯の基礎知識、インプラントなどの専門治療の説明など、生活者にとって有益な情報の提供を目指しています。

インプラント歯科医院を探すなら「インプラントネット」

インプラント治療を行なっている歯科医院を、全国から簡単に検索できます。お近くのインプラント歯科医院をお探しの場合にもぜひご活用ください。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。