■目次
入れ歯の値段に差が出る最大の要因は保険適用内か適用外か
入れ歯を作るときにまず選択することになるのが、保険診療か自費診療かというポイントです。
公的医療保険が適用されるプラスチックの入れ歯は、患者さんの負担は1~3割。
そのため、全額自己負担の自由診療の入れ歯に比べて値段を大きくおさえられます。
保険適用の入れ歯の相場(3割負担)は、5,000~10,000円程度が目安です。歯の喪失本数やハリガネの数などによって大きく変わります。
自費診療で作製される入れ歯は治療を受ける歯科医院や材料などにより異なります。
保険適用の入れ歯でも全額自己負担したら3~5万円程度かかるかもしれません。
自由診療であれば10万円以上かかることもあるでしょう。
保険適用外の入れ歯を希望する場合は、事前に値段を確認する必要があるでしょう。
次項からは、自費診療の入れ歯の値段の差について詳しく見ていきます。
自費診療は歯科医院が独自に値段設定できる
まず、自費診療は各歯科医院が独自に費用を決定することができます。
そのため、同じ材料の入れ歯だとしても、どこの歯科医院でも同じ値段ではありません。
自費診療の入れ歯は15~50万円と値段に幅がありますが、入れ歯の種類や治療方法などによっては100万円する入れ歯を取り扱っている歯科医院もあります。
また、同じ素材を使っていても製法、アフターケア、保証などの違いがあります。
入れ歯は一度作ったら終わりではなく、こまめに調整が必要になることもあるので、注意しましょう!
自費の入れ歯はいろんな種類の材料が使える
保険適用の入れ歯は価格が低いというメリットはあるものの、使用できる材料が限られています。
保険診療の入れ歯は歯科用レジン(プラスチック)で作られています。
レジンの強度はあまり高くなく、耐久性を求めて厚めに作られるため、自費診療の入れ歯に比べて装着したときに違和感を感じる可能性が高くなります。
また、レジンは着色しやすく、色調の種類も限られているといったデメリットがあります。
その他、部分入れ歯では前後の歯にクラスプと呼ばれる金属のバネをかけて安定させますが、保険のクラスプは金属のみのため、前歯に近い部分の入れ歯では目立ってしまうことがあります。
一方、自費診療の入れ歯は、患者さんの希望を取り入れて見た目が良く噛みやすい材料を選択することができます。
金属以外にシリコンなどさまざまな材料を選択できるので、見た目、噛みやすさ、装着感などを改善できます。
総入れ歯では床に金属を使用することで、保険適用の入れ歯よりもぐっと薄くすることができ、装着感が向上するのも大きなポイントです。
また、クラスプの部分を金属以外の素材で作ることもでき、目立ちにくくすることもできますよ。
さらに、インプラントを併用した入れ歯「インプラントオーバーデンチャー」もあります。
2~4本のインプラントを埋め込み、その上に総入れ歯を装着する治療です。
すべての歯にインプラントを埋入するととても高額になりますが、この方法であれば少ないインプラントで安定感に優れた入れ歯を作ることができます。
自費の入れ歯は作るまでの工程・時間も違う
自費診療の特徴は、入れ歯に使用する材料だけではありません。
治療にかけられる時間や工程も保険診療とは異なります。
保険診療の入れ歯は、決まった手順で製作する必要があり、材料の制限があるため、患者さんの要望に最低限しか対応することができません。
保険適用外の入れ歯は、手順や材料に制限がありません。
そのため、歯科医院によっては最終的な入れ歯を入れる前に噛み合わせを安定させるための期間(治療用義歯)を設けるところもあります。
治療期間だけを見れば時間はかかりますが、お口にしっかりフィットして適切に噛み合う入れ歯を最終的に作ることができる可能性が高まりますよ。
まとめ
入れ歯の値段の違いは、保険適用の有無で大きくなります。
自費診療の場合は材料以外に歯科医院によっても保証制度の有無によって価格設定が異なるので、比較検討する必要があります。
保険適用でも保険適用外でも、ご自身に合った入れ歯を作ってもらうことが大きなポイントです。
もし、保険適用の入れ歯に納得ができないのであれば、自費診療の入れ歯を検討してみてはいかがでしょうか。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。