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インプラントに歯磨き粉は使ってはいけない!?
インプラントは天然歯に近い機能性を持っていますインプラント体や周りの組織に問題があると、不安定になってグラつくおそれがあります。
そのため、インプラント周囲に炎症が起きないようしっかりケアをすることが推奨されます。
しかし、歯磨きで使用する歯磨き粉の選び方を間違えると、反対にインプラント体にダメージを与えてしまうかもしれません。
使ってはいけない歯磨き粉
大きな研磨剤が入っている歯磨き粉
歯磨き粉の中には、研磨剤を配合したものがあります。
こうした歯磨き粉は、タバコやコーヒーなどによる歯の着色をよく落とす効果がありますが、粒子の大きな歯磨き粉はインプラントと歯茎の間に入り込むと組織を傷つけて、炎症を引き起こすおそれがあります。
また、インプラントそのものを削ってしまい劣化の原因となります。
研磨剤は硬くザラザラしており、すぐには溶けないため口の中に長く残り、こうしたダメージを与えてしまう可能性があります。
研磨剤入りの歯磨き粉の成分表には「ケイ素」「炭酸カルシウム」と記載されていることが多いので、成分表をチェックして選択するとよいでしょう。
高濃度のフッ素が入っている歯磨き粉
フッ素入りの歯磨き粉は、主に虫歯予防の観点でお口のケアをする観点から効果的という見方もできます。
しかし、インプラント体の素材であるチタンが、フッ素によって腐食してしまうという報告もあります。
インプラント体は歯の歯根に相当し人工歯の土台となる大切な部位なので、なるべくダメージを与えないようケアをしたいところです。
ただし、高濃度のフッ素であってもお口の中に入ると唾液によって薄まるため、インプラント体に影響するリスクは低いという考え方もあります。
それよりも、フッ素によって歯質を強化し、虫歯予防というメリットを高く評価することもできます。
歯科医師と相談のうえ、フッ素入りの歯磨き粉を使うべきか判断されるとよいでしょう。
インプラント治療後におすすめの歯磨き粉は?
インプラント治療後におすすめの歯磨き粉としては、インプラント体に影響しない歯磨き粉を選ぶことが前提条件となります。
研磨剤の入った歯磨き粉はインプラントそのものや周囲の組織を傷つけてしまうおそれがあるので、研磨剤の配合されていない歯磨き粉を選ぶとよいでしょう。
同様に、フッ素についても配合されていないものか、または濃度の薄いものを選ぶのも選択肢のひとつです。
虫歯の心配があってフッ素配合の歯磨き粉を選びたいという場合は、担当の歯科医師に相談してみてください。
まとめ
インプラント治療後もセルフケアや歯科医院でのメンテナンスが非常に大切です。
健康的に長持ちさせるためにも、毎日の歯磨きにはこだわりたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
歯磨き粉を選ぶ際も、炭酸カルシウムやケイ素などの舌でざらつく感じがする研磨剤が配合されているものは選ばない、フッ素配合の歯磨き粉についても担当の歯科医師と相談して考えるなどしてみるとよいでしょう。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。
歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。
2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。