■目次
入れ歯とインプラントの比較 特徴
入れ歯(保険診療)とインプラント治療の特徴を比較すると、治療後の機能性についてはインプラントに多くのメリットがあることがわかります。
入れ歯は金具を使って固定する場合があるので場所により大きく目立ちますが、インプラントは天然歯に近い自然な見た目を再現できます。
また、入れ歯は金具をかける歯を削って固定する方法によって固定源となる天然歯がダメージを負いますが、インプラントはこうした心配はありません。
比較表のように見た目や機能面で優れているインプラントですが、治療の際にはインプラントを顎骨に埋め込むための手術が必要になります。
また、インプラントは誰でも手術を受けられるわけではありません。インプラント体を埋め込む骨の状態が良好であることや、糖尿病や骨粗鬆症などの持病がない、またはコントロールできていることなどが条件となります。
入れ歯とインプラントの比較 費用
入れ歯には保険診療と自費診療のものがあります。
保険診療の入れ歯は、部分入れ歯はおよそ5,000~13,000円、総入れ歯はおよそ15,000円(片顎)となるでしょう。
自費診療は、保険診療と違い時間をかけて調整できるうえ、保険診療にはない素材を選べます。患者さんの症状や歯科医院ごとに治療に必要な費用は異なりますが、部分入れ歯であればおよそ100,000円以上、総入れ歯であればおよそ200,000円以上かかる可能性があります。
自費診療については通っている歯科医院で特徴やメリットを詳しく聞いたうえで、予算に見合うか判断するとよいでしょう。
インプラント治療は、基本的に自費診療となるので治療費が高くなります。これも患者さんのお口の状態や歯科医院の方針などにより金額に開きがありますが、1本につき40~50万円ほどかかると考えた方がよいかもしれません。
インプラントの場合は歯の部分である上部構造の素材によっても金額が変わってきますので、担当医に確認してみてください。
入れ歯とインプラントの比較 治療期間
入れ歯にする範囲によって異なりますが、保険診療の部分入れ歯はおよそ3週間、総入れ歯であればおよそ1ヵ月でできます。
自費診療の場合はオーダーメイドとなり、患者さんによりフィットする入れ歯を作製するために時間をかけて歯型を取るなどするほか、歯科医師と歯科技工士が綿密に連携します。そのため、保険診療に比べて時間がかかり、3ヵ月ほど必要となる場合もあります(歯科医院によっては自費の場合、1日で作製するサービスを提供するクリニックもあります)。
インプラントは精密検査のうえ手術が必要になるほか、顎骨に埋め込んだインプラント体がしっかり結合するのを待つための治癒期間が必要です。そのため、下顎が2~3ヵ月、上顎が4~6ヵ月と、比較的長くかかります。
入れ歯とインプラントの比較 寿命
入れ歯の寿命は3~5年くらいに見込んでおくとよいでしょう。長期的に使用しているとすり減ったり緩くなったりして、徐々にフィットしなくなってきます。合わない状態のまま使っていると歯茎にダメージを与えるおそれがあるので、定期検診を受けて入れ歯のチェックしてもらうことが必要です。
インプラントは多くの場合、10年以上は使用できると考えられています。要因として、残っている歯を固定源とせず、天然歯同様に顎骨に結合するためだといえます。
ただし、インプラントは「インプラント周囲炎」と呼ばれる、いわば歯周病のような症状を引き起こすことがあります。インプラントの周囲組織が炎症を起こすとインプラント体を固定している骨も溶けてしまい、インプラント体が抜け落ちてしまうおそれがあります。
それを防ぐためにも定期的にメンテナンスを受けなければなりません。
また、歯の部分に相当する上部構造はすり減っていくため、インプラント体(下部構造)とは別に定期的に交換する必要性があるかもしれません。
まとめ
入れ歯とインプラントには、予算面のほかに機能性や審美性などの点において、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。ご自身がどのポイントを優先するか考えながら、しっかり比較検討しましょう。
よく考えても迷ってしまう場合は歯科医師に相談してみてください。
この記事で、あなたの入れ歯とインプラントに対する不安が少しでも解消されたら幸いです。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開