■目次
インプラント治療とブリッジ治療の違いとは
ブリッジ治療
ブリッジ治療とは、欠損した歯の両隣にある歯を大きく削って被せ物を被せ、欠損した部分は人工歯(ダミー歯・ポンティック)で補うことで、欠損歯を補う治療法です。長所としては、治療回数や通院の回数が比較的短く済み、治療中に取り外しを行う必要もない点が挙げられます。また、基本的に健康保険が適用されるため、治療費が比較的安価で済むのも特徴と言えます。
一方、ブリッジ治療に際し周囲の歯を削ることになるだけでなく、両端の歯にかかる負担はかなり大きくなるため、健康な歯の寿命を短くしてしまう危険性があります。加えて、ブリッジを行うためには被せ物を用いる必要があるため、両端の歯が被せ物の中で虫歯(二次カリエス・二次虫歯)になってしまう危険性もあります。
インプラント治療
インプラント治療とは、歯を失った箇所にネジ(人工歯根)を埋め込み、その上に人工歯(上部構造)を取り付けて、機能性を改善する治療法です。噛み心地や外見に違和感がない仕上がりとなることに加え、ブリッジ治療と同様、取り外しの必要もありません。また、周囲の歯を削ることがないため、他の歯に負担がかからない点もメリットとなります。
しかし、ブリッジ治療とは異なり医療保険の適用外となるため、治療費はやや高額となります。また、治療に際して手術も必要となり、治療期間自体も長くなってしまいます。そのうえ、手術が終わった後もメンテナンスが必要となるため、患者さんの側にもある程度の忍耐力が求められる治療法ではあります。
インプラントとご自身の歯を併用してブリッジ治療を選択することもできる
インプラントとブリッジの治療の違いが分かったところで、実際の治療例についても紹介していきます。インプラントとブリッジはそれぞれ独立した治療法ではありますが、2つを併用して治療を行うケースも存在します。例えば、3本の歯を失った場合、その両端にインプラントを埋入し、真ん中はブリッジのダミー歯で補う治療法を選択できます。
基本的には、ブリッジを行う際には、天然歯(自分自身の歯)同士、もしくはインプラント同士を用いるため、インプラントと天然歯を連結することはほとんどありません。ですが、場合によっては、2本以上の歯が欠けた場合に、失った部分のどこかにインプラントを埋め込み、そのインプラントと残った天然歯を連結して、ブリッジする形を取るケースも稀にあります。
インプラントとブリッジを併用するメリットとしては、欠けた箇所全てにインプラントを入れるよりも、インプラントの本数が少なくなるため、外科手術を小さい範囲で済ませることができ、身体への負担も少なくさせられる点が挙げられます。また、インプラントの本数が減少することにより、治療費も安くすることが可能になります。
一方で、併用によるデメリットも存在します。治療後インプラントに問題が起こった際には、インプラントに装着した人工歯や、インプラントとブリッジがまとめて抜け落ちる可能性があります。それに加えて、ブリッジに天然歯を用いた場合は、その天然歯が割れる、あるいは折れるような危険性もあります。その予防のために、治療後もメンテナンスが必要であり、ひいてはそのための費用もかかることになります。
インプラントもブリッジもメンテナンスが重要
歯科治療が必要になる場合の原因としては、やはり虫歯や歯周病がポピュラーなものとなります。そのため、インプラントとブリッジの双方において、治療後に虫歯や歯周病にならないためのケアは継続して行っていく必要があります。そういった観点からも、歯科医院でのメンテナンスは重要となってきます。
インプラント・ブリッジの双方ともに、治療を終えた時点でゴールというわけではありません。その後に再び歯の状態が悪化したり、虫歯や歯周病にならないよう、歯ブラシによるセルフケアはもちろんのこと定期検診によって、歯や人工歯の健康状態を維持していくことが大事です。
まとめ
内容には少なからず違いがみられます。それぞれに異なるメリットとデメリットがあることに加え、中にはインプラントとブリッジを併用する治療法も存在します。
そのため、実際に治療を行っていく前に、自分のお口の中の状況や希望により適した方法がどちらなのか、という点を把握しておくことが重要となります。今回取り上げた、ブリッジやインプラントといった歯科用語や、それぞれの実際の治療内容を正しく理解したうえで、ご自身としても納得のいく形で治療を進めていきましょう。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開