インプラント治療の必須機器!歯科用CTが必要な理由

インプラント治療には歯科用CTの撮影が必要です。CT撮影により、骨の厚みや骨密度、神経の位置などインプラント治療に必要な情報を精密に知ることができるため、安心できるインプラント治療へとつながります。
CT撮影による被ばく量やなぜCT撮影が必要なのか?など、インプラント治療における歯科用CTについてご紹介します。

更新日:2022/12/01

インプラント治療の必須機器!歯科用CTが必要な理由

■目次

  1. 歯科用CTとは?
  2. インプラント治療におけるCT撮影の必要性
  3. CTで診断できる内容
  4. CTのある歯科医院を選ぶ5つのメリット
  5. CT撮影に保険は適用される?

歯科用CTとは?

歯科用CTとは?

CTとは、コンピューター断層撮影(Computed Tomography)の略称であり、エックス線を用いて人体を薄く輪切りにした画像を撮影する方法です。
撮影で得た情報を3次元画像として構築することが可能であり、レントゲン撮影による2次元画像よりも多くの情報を得ることができます。

歯科用CTとは、歯科治療で必要な部位の撮影に特化した画像撮影装置のことをいいます。
骨の中や歯の中など、お口の中の目で見ることのできない部位を確認することができるため、口腔顎顔面領域の撮影において、CT撮影は最も有用な画像検査法であるといわれています。

また、歯科用CTは撮影範囲が限局的であるため、CT撮影時における被ばく量を低減することができます
通常のCT撮影では、腹部のCT撮影1度につき3.1~16.1mSv(ミリシーベルト)程度被ばくするとされています。

しかし、歯科用CTでは、お口の中のCT撮影1度に付き0.1mSv程度(参考:東京都歯科医師会)であり、使用する機器や撮影方法によっては0.1mSv以下の被ばく量で撮影が可能です。0.1mSvとは、東京からニューヨークまで飛行機で往復した場合の被ばく量(0.11~0.16mSv)よりも低く、身体に影響はないといえる範囲の数値です。

また、医療でCT撮影やレントゲン撮影などの放射線を用いる撮影を行う基準は、撮影をしたほうが撮影をしなかった場合より「患者さんにとって利益が大きい」と判断される時のみ行われるため、不必要な撮影は行われません。併せて、放射線を使用する処置を行う医療機関は、放射線防護エプロンを使用するなど、できる限り患者さんの被ばく量を減らす努力が義務付けられています。

インプラント治療におけるCT撮影の必要性

インプラント治療におけるCT撮影の必要性

安全にインプラント治療を行うためには、骨密度や骨の太さ、隣の歯との距離、神経の位置などインプラント治療を行う部分のさまざま情報を得ることが大切です。

CT撮影にて得た情報により、インプラントを埋め込む位置や方向、インプラント体(フィクスチャー)の太さや長さを決定し、計画的に埋め込むことで安全に治療を進めるための重要なポイントとなります。
CT撮影を行うことで、顎の骨の立体的な形態や、神経の位置を把握するほか、骨密度の診査などを行うことが可能です。

反対にCT撮影を行わなかった場合、神経を傷付けてしまい手術後に痺れが残る、血管を傷付けてしまい大量出血してしまう、骨密度の不足によりインプラントが骨とくっつかないなどの可能性が高まります。
また、上の奥歯のインプラントであれば「上顎洞(副鼻腔の一部)」と呼ばれる鼻の左右にある空洞へインプラントが突き出してしまい炎症を起こす可能性もあります。

そういったトラブルが起きないようにするためにも、埋め込む予定の部位の情報を得ることが重要です。

治療を行う前だけではなく治療終了後にも撮影を行うことで、インプラントが正確な位置に埋め込まれたかどうかの確認や、他の組織へ悪影響を及ぼしていないかなどの確認をすることができます。
また、インプラントが骨とくっついたかどうかなどを診断する判断材料にもなります。

CTで診断できる内容

CTで診断できる内容

歯科用CTでは、
・インプラントの検査
・矯正歯科治療前の検査
・親知らずの位置の確認
・根尖病巣の有無
・歯周病の進行度
・歯の破折

などが診断できます。

インプラント治療では、具体的には下記のような内容をCT撮影で診断しています。

・骨密度
骨を構成するカルシウムなどのミネラルの密度。
骨密度が低いとインプラントと骨がくっつく確率が低下するといわれています。骨密度が低下する病気、骨粗鬆症ではないかの判断を行うことができます。

・骨の厚み・高さ
埋め込むインプラント体(フィクスチャー)の太さや長さを決定することができます。

・上顎洞までの距離
上顎洞は人によって位置が異なります。上顎にインプラントを埋め込む場合、鼻の横にある空洞にインプラントが入り込んでしまわないよう、上顎洞までの距離(骨の厚み)が必要です。

・下顎の神経の位置
下顎には、
・下顎の歯
・舌の先端から3分の2
・下唇
・頬
などの感覚をつかさどる重要な神経が通っている管があります。また、その管には大きな血管も通っており、誤って傷付けてしまうと麻痺や大量出血が起こる可能性があります。
インプラントを埋め込む際に傷付けてしまうことがないよう、正確に位置を把握することが大切です。

・隣の歯との距離
歯は顎の骨に垂直に生えているわけではありません。インプラントを埋め込む際に、隣の歯の根にぶつかったり傷付けてしまわないように注意が必要です。

CTのある歯科医院を選ぶ5つのメリット

CTのある歯科医院を選ぶ5つのメリット

・撮影がスムーズ
歯科医院内にCTがあることで、CT撮影が必要なタイミングですぐに撮影を行うことができます。
他院や大学病院でCTを撮るための予約がとれずになかなか治療が進まない、といった問題を避けることができます。

・結果がすぐにわかる
歯科医院内で撮影するため、担当医師が撮影したデータをすぐに見ることができます。
他院から情報提供されるまで待つ時間がありません。

・手術中にCT撮影ができる
インプラント体を埋め込む位置や深さなど、計画通りに治療が進んでいるかを確認することができます。

・費用が明確、安価
CTを設置している歯科医院では、インプラント治療の費用の中に含まれているかどうかなど、インプラント治療に必要なCT撮影の費用を明確に、分かりやすく提示してもらうことができます。

・トラブルが起きた時に安心
インプラント手術後に、万が一トラブルが起きた際にもすぐにCT撮影を行い、診断・治療を受けることができることができます。

CT撮影に保険は適用される?

CT撮影に保険は適用される?

インプラント治療におけるCT撮影は、インプラント治療の手術前検査の撮影も、インプラント治療後にトラブルが起きた際の撮影も自由診療(各歯科医院で独自に費用を決めることができる治療)であり、公的医療保険は適用されません。

CTを設置している歯科医院では、インプラント治療費用の総額にCT撮影費用が含まれている歯科医院も多いようです。
別途CT撮影費用がかかる場合は、10,000~40,000円程度が相場です(全国10医院 2022年1月メディカルネット調べ)。

他院でCT撮影を受ける場合は、CTデータのやり取りの費用がかかることもあり、CTを設置している歯科医院での撮影よりも高額になる傾向にあります。事前にCT撮影費用がどの程度かかるかを、治療を受ける歯科医院で確認しておきましょう。

記事監修

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歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。