■目次
インプラントのアフターケアはなぜ必要?
インプラントは長期的に使用できる人工歯ではありますが、より長く使うためにはアフターケアが欠かせません。
例えば、インプラントとの噛み合わせが悪いと健康にも問題が生じます。
一度噛み合わせを調整したじゃない、と思うかもしれませんが、お口の中は日々変わっているのです。
また、インプラントが揺れる、インプラント周囲炎になるなどの不具合が起こることも考えてアフターケアを受けることが大切です。
こうしたトラブルが目に見えない形で起きていることもあり、アフターケアを受けて問題点を発見し、早期に対処する必要があるのです。
定期的なアフターケアは、インプラントを長く正常に使い続けるために必要な過程といえるでしょう。
アフターケアをサボってしまうと…
インプラントは人工歯なので虫歯にはなりませんが、「インプラント周囲炎」になる可能性があります。
インプラント周囲炎は、歯槽骨などの組織が細菌によって炎症を起こすことで、インプラントが動揺してグラついてしまいます。
最悪の場合、インプラントが脱落してしまうことも。
また、インプラントが少し緩んでいたり、インプラント周囲炎になっていても痛みが無いこともあるため、自分自身では気が付きにくいものです。
歯科医院で定期検診を受けることで自分では気が付かなったトラブル一歩手前の状態、あるいはちょっとしたトラブルを発見することができますよ。
アフターケアで防げるトラブル3選
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、歯磨きなどのセルフケアによって細菌をある程度取り除くことで予防ができますが、それだけでは依然としてリスクが残ります。
さらに、歯周病よりも進行しやすいという特徴があります。天然歯の場合は歯根膜という線維で強固に繋がれていますが、インプラントの場合、歯茎とインプラントが付着しているだけで脆いためです。
定期的なメンテナンスを受けることで歯周組織の状態をチェックできるほか、クリーニングによりお口の中を清潔に保ちます。
また、歯科医院でブラッシング指導によってセルフケアの質を高めることにもつながり、インプラント周囲炎の予防効果が高まりますよ。
インプラントの緩み
インプラントの基本的な構造ですが、人工歯根にあたるインプラント体、人工歯と、二つをつなぐアバットメントによって構成されています。
メンテナンスでは、アバットメントを中心にそれぞれの結合状態を確認し、ネジに緩みがないか、そのほかに異常がないかチェックします。
インプラントは長く使っていると負担が積み重なり、人工歯やアバットメントなどのネジが緩み接着剤が剥がれることがあります。
まだ緩みが小さいうちから発見することで、簡単な修理で終えられる可能性があります。
もし、自分で緩みに気づいたら、自力で直そうとせず歯医者さんに連絡しましょう。
インプラントの脱離
インプラント周囲炎やインプラントそのもののトラブルは、早期発見によってより簡単に改善できます。
状態がひどくなってから検査に訪れても、インプラントを抜くしかない、といったことになるかもしれません。
インプラントが脱離するという最悪の事態を避けるためにも、アフターケアが欠かせないといえるでしょう。
アフターケアにかかる費用相場は7,000円!
インプラントのメンテナンスは、自費診療です。
金額は歯医者さんによって異なりますが、1回につき4,400~9,500円くらいの歯科医院が多いようです。
平均すると、約7000円程度です。
しかし、お口の中に何本インプラントがあっても同一の価格の場合もあれば、1本あたりで費用を決めている歯科医院もありますので、事前に確認しておきましょう。
他院で行ったインプラント治療だと追加費用がかかることもあるようです。
また、メンテナンスにかかる費用がインプラント治療費や保証システムなどに含まれている場合もあります。こちらも合わせて確認するとよいでしょう。
インプラントのアフターケアでトラブル回避を
インプラントは適切にケアをしないまま放置すると、インプラント周囲炎や部品のネジの緩みなどによって取れてしまうことも考えられます。
最悪の事態に陥らないようにするために、トラブルを早期発見し対処できるのが歯科医院での定期メンテナンスです。
自分自身で行うインプラントのセルフケアも大切ですが、定期検診を欠かさないことがインプラントを長持ちさせるポイントですね。
通院できなくなる理由がある場合はいつまで通院できないのか、なぜ通院できないのか(入院などなのか)を伝えておくと、その間に自分自身でできるケア方法を教えてもらえるかも。
引っ越しなどで転院する場合は、インプラントのメンテナンスをしてくれる歯科医院を探してみてくださいね。
記事監修
記事監修:古川雄亮
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開