インプラントと歯肉再生 抜歯で下がった歯茎は治る?

インプラントのために抜歯をしたら、歯茎が下がったと感じていませんか?

インプラント治療は天然歯のようにしっかり噛めると言われており、治療に大きな期待をしている患者さんも多いですよね。
しかし、外科手術をしたり治療期間が長く、治療の途中で不安を感じることも多いようです。

せっかくインプラント治療をするのなら、歯茎も治してきれいな口元にしたいですよね。
この記事では、歯茎が下がる原因や、歯茎の治し方について解説します。

更新日:2021/11/22

インプラントと歯肉再生 抜歯で下がった歯茎は治る?

■目次

  1. 抜歯で歯茎が下がる?
  2. 歯茎が下がる原因は?
  3. 下がった歯茎を治す「歯肉再生」療法とは
  4. 歯肉再生治療のメリット
  5. 歯肉再生療法の費用について
  6. 歯肉再生療法は見た目にこだわりたい方にも

抜歯で歯茎が下がる?

抜歯で歯茎が下がる?

歯を抜くと、歯があった部分にぽっかりと穴があきます。
この穴は抜歯窩(ばっしか)と呼ばれ、歯を抜いた時の出血で穴が満たされます。

その後、柔らかいゼリー状の血餅(けっぺい)が形成され、血餅を土台に少しずつ歯茎が作られていきます。
かさぶたから元の皮膚が作られていくのと同じような状態ですね。

歯茎ができた後は最終的に骨が作られ、少しずつ回復してきます。

しかし、元通りに回復せずに、歯茎が少しへこんだ状態で完治することもあるのです。
抜歯後に傷口が感染し、治癒に時間がかかってしまった場合も歯茎が下がってしまうことがあります。

歯茎が下がる原因は?

歯茎が下がる原因は、抜歯以外にもさまざまです。

矯正治療によるもの

矯正治療によるもの

歯を動かす過程で歯茎が下がることがあります。
歯を大きく動かすと歯茎が下がるとも言われています。

マウスピース矯正でも、マウスピースの辺縁が歯茎に接触することで下がることもあります。

歯周病

歯周病菌によって歯を支えている骨が溶かされ、それに伴い歯茎も下がります。

歯周病の炎症が起きている間は痛みがなく気が付きにくいですが、歯周病の治療をすると炎症による腫れが引いて歯茎が下がったと感じる患者さんが多いですよ。

噛み合わせの悪さ

噛み合わせの悪さ

噛んだときのバランスが悪くなると、一部の歯に大きな負担がかかります。

歯の骨が力によるダメージを受けることで、歯茎が下がってしまいます。

歯磨き(ブラッシング)が強すぎる

歯磨き(ブラッシング)が強すぎる

歯を磨くときに力が強すぎると、歯茎が傷ついたり強い刺激を避けるために下がってしまうことがあります。

歯の位置が外側(唇側)にずれている

歯の位置が外側(唇側)にずれている

歯の位置が唇側にずれていると外側の骨が薄い可能性が高く、歯茎が退縮していることが多いです。例えば、八重歯は歯茎が大きく下がって歯の根っこが露出していることも多いです。

下がった歯茎を治す「歯肉再生」療法とは

下がった歯茎を治す「歯肉再生」療法とは

基本的に歯茎が下がるとそのままでは元に戻りません。

では、歯茎は一生下がったままなのでしょうか?

何も処置をしない場合は歯茎は下がった位置のままでしょう。
丁寧な歯磨きや定期検診でそれ以上歯茎が下がらないように対策することはできますが、歯茎が元の位置までしっかり戻ることは難しいのです。

そこで、下がった歯茎を治す「歯肉再生」療法があります。
外科治療が伴い、正式には歯周組織再生療法などとも呼ばれています。

健康な歯茎の一部を切り取って、歯茎が下がった部分に移植する「遊離歯肉移植術」(FGG)という方法や、同じ歯の上の歯茎や両隣にある歯茎を引っ張って露出している歯根を覆う「歯肉弁側移動術」という方法もあります。

このほかに、歯茎と骨がくっついている固い部分(結合組織)の両方を採取し、移植して縫合する「結合組織移植術」(CTG)という治療方法もあります。

歯肉再生治療のメリット

歯肉再生治療のメリット

下がった歯茎を改善することができる歯肉再生治療にはさまざまなメリットがあります。

まず、歯茎が下がって悪くなっていた見た目を改善できることでしょう。
歯茎が下がるだけで笑顔になれなくなる方も多く、ほかの歯と変わらない見た目になることでずっと生活しやすくなるかもしれませんね。

また、歯茎が下がっていると歯の根が歯茎から出てしまうため知覚過敏を起こすことがありますが、歯茎で覆うことで症状を改善できる、知覚過敏を予防することができるかもしれません。
歯の根が露出しないことで、虫歯の予防効果も期待できますよ。

歯肉再生療法の費用について

歯肉再生療法の費用について

歯肉再生療法は保険で受けられるものもありますが、自費で提供している歯科医院も多いです。
自費の場合は費用が高額になりがちですが、歯を守ることにつながるため、受ける価値は十分にあるといえるでしょう。

金額は歯科医院や治療方法などによってそれぞれ異なりますが、およそ5万~8万円が相場です(2021年11月 メディカルネット調べ)。

治療方法や歯の本数によって異なる場合もありますので、歯肉再生療法を検討されている方はまずは歯科医院で相談してみてくださいね。

歯肉再生療法は見た目にこだわりたい方にも

歯肉再生療法は見た目にこだわりたい方にも

歯肉再生療法は、歯を虫歯や摩耗から守るという健康上のメリットがあるのはもちろん、歯が長く見えてしまうような審美性の悪さも改善できます。
口元をきれいにしたいという方にとっても、歯肉再生療法は有効な治療方法だといえるでしょう。

歯茎の見た目でお悩みの方はぜひ歯肉再生療法を検討してみてはいかがでしょうか。

記事監修

記事監修:古川雄亮

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。