インプラントが動く・ぐらつく 原因と対処法を紹介!

インプラント治療は天然歯のようにしっかり噛むことができるなど、機能性としては高いものがあります。しかし、人工のものであることには変わりなく、メンテナンスを続けていても経年によってトラブルが起きる可能性はあります。

もし、以前に埋めた人工歯がぐらつくような感触があったら、何かしらのトラブルが起きている可能性があります。この記事では、インプラントが動くときに考えられるトラブルや、対処方法などについて解説します。

更新日:2021/11/08

インプラントの対処法

■目次

  1. インプラントが動く・ぐらつく原因とは
  2. インプラントが動くときはどうしたらいい?
  3. 歯科医院をすぐに受診できない時は
  4. 記事監修

インプラントが動く・ぐらつく原因とは

インプラントと骨がうまく結合していない

インプラントの断面図

インプラントを埋入した直後から、インプラントがぐらつくことがあります。
理由としてはいくつか考えられますが、その中のひとつが手術によるオーバーヒートです。インプラントを顎に埋入するために、ドリルで骨に穴を開けます。このときの摩擦によって骨がやけどをしたようなダメージを負ってしまい、インプラントと骨がうまく結合しない場合があります。

このほかにも、インプラントを埋入する位置や角度が合っていない、インプラントを埋めるのに充分な骨がない、といった理由も考えられます。

ただし、骨とインプラントが結合するまでは3~6ヵ月という長い期間がかかります。そのため、はじめのうちの小さな揺れは許容範囲とされることもあります。

被せ物をつけるネジが緩んでいる

インプラントの手術イメージ図

インプラントには、被せ物(人工歯)の部分と接続するためのアバットメントと呼ばれる部品があります。噛んだときの強い力がインプラントにかかり続けていると、被せ物を固定しているネジが緩むことがあります。このときに被せ物が揺れて、歯根に埋まっているインプラント体そのものが揺れているように感じることがあります。

ネジが緩んだだけであれば、締め直すだけの簡単な治療で済む場合があります。

被せ物をつけるセメントが緩んでいる

脱落してしまったインプラント

インプラントを使ってるうちに、被せ物を固定しているセメントが緩んでしまうことがあります。何らかのトラブルが発生したときに外せるよう、やや弱めのセメントで固定することがあるので緩みやすいケースもあります。実際は被せ物の部分が揺れているにもかかわらず、インプラント全体が揺れているように感じることがあります。

インプラントと被せ物の接続部分(アバットメント)が緩んでいる

インプラントとアパットメントの接続図

被せ物とインプラント体を接続するアバットメントと呼ばれる部品が、使用しているうちに緩んでしまうことがあります。これも、インプラント体が揺れるように感じる一因になりえます。

インプラントが緩んでいる

インプラントの注意点

インプラントは人工歯なので虫歯にはかかりませんが、ケアを怠っていると歯周病と同じように周囲の組織が炎症を起こします。これをインプラント周囲炎といいます。この炎症が進行すると、インプラント体を支えている骨が溶けていき、インプラント体そのものがぐらつくようになります。

インプラント周囲炎の症状によっては、インプラント治療をやり直すことになります。

インプラントが動くときはどうしたらいい?

まずはインプラント治療を受けた歯科医院を受診する

インプラント治療のカウンセリング

インプラントの不具合は自分では直せないので、ぐらついたと感じたらまずはインプラント治療を受けた歯科医院に相談しましょう。

このとき「いつごろからぐらつき始めたか(治療直後か、しばらく経ってからか)」「口をぶつけたなど、何か思い当たる節はあるか」「喫煙の習慣などはあるか」といった情報をまとめておき歯科医師に伝えると、治療がスムーズに進みます。

CTやレントゲン撮影を行う

インプラントに必要な歯科器材

被せ物やアバットメントが揺れているだけであれば簡単な修理で済むこともありますが、インプラント本体が揺れているのであれば、大きな治療が必要になるかもしれません。視診や触診だけでなくCTやレントゲン撮影などで情報を集め、インプラント体の状態を確認します。

必要に応じて再治療を行う

インプラント周囲炎になってしまった場合、再治療が必要

インプラント周囲炎などによってインプラント体そのものが揺れているようなケースでは、インプラントを取り出して再び埋入しなければならないこともあります。炎症によって骨が溶けていたら、骨を再生させる治療からはじめるかもしれません。

歯科医院をすぐに受診できない時は

なるべく触らない

インプラントをつい舌や手で触らないように注意

インプラントがぐらつくと気になって、つい手や舌で触ってしまうという患者さんもいます。しかし、状態がさらに悪化するおそれがあるのでなるべく触らないでください。インプラントを埋めている穴がさらに広がる、炎症が進行する、といったことにつながるかもしれません。

硬い食べ物を避ける

インプラントがぐらついている場合は硬い食べ物を避ける

せんべいやフランスパンなどの硬い物を噛むと、インプラントのぐらつきがさらにひどくなるおそれがあります。インプラントが揺れるような気がしたら、硬い食べ物は食べないようにしてください。

とれたパーツは保管しておく

インプラントが取れてしまった場合は保管して歯科医院へ

もしインプラントのパーツが取れてしまった場合は、自分で口に戻さずなくさないように保管し、都合の良いときに歯科医院へ連絡してください。口に戻してそのままにしても、再びインプラントがくっつくわけではありません。むしろ、細菌に感染するなどのトラブルを起こす可能性があります。
パーツの状態によっては、修理や再治療するときに再利用することが可能です。

歯磨きはしっかり行う

歯磨きなどのケアで炎症を抑え、口内を清潔に保ちましょう。

ぐらついた部分を悪化させないよう優しく扱うことは大切ですが、清潔に保っておくことも炎症を抑えるために必要です。歯磨きの場合、インプラントをまったく磨かずにおくと、インプラント周囲炎を起こす危険性があります。強くこすらないように気をつけながら、歯磨きで丁寧にケアをしてください。

まとめ

インプラントの揺れに気づいたら、いじったり外れたパーツを元に戻そうとしたりせず、まずは治療をした歯科医院に連絡しましょう。被せ物やアバットメントのネジが緩んでいるだけであれば比較的簡単に修理できますが、インプラント体そのものが揺れている場合は再治療が必要となる可能性もあります。そうならないように気をつけたいのが、日頃からお口の中を清潔に保つことです。インプラント周囲炎を起こさないようしっかり歯を磨き、定期的にメンテナンスを受けてください。
この記事で、インプラントのぐらつきに対するあなたの不安が少しでも解消されたら幸いです。

記事監修

記事監修:古川雄亮

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。
歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。
2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。