■目次
インプラントの主な4つの失敗する原因
失敗1.インプラントを埋入したが固定されない
インプラント手術を行い、インプラントを埋入しても、インプラントと骨が結合せずに固定されない場合があります。インプラントは骨と強く結合することによって、咀嚼能力が回復できるのですが、結合されなければ噛むことができませんし、脱落を招いてしまいます。
インプラントが固定されない原因には次のようなものが挙げられます。
・インプラントが適切に埋入されていない
インプラントを埋め込む位置や深さなどが適切でなければ、インプラントがうまく骨と結合しない可能性があります。
・ドリルによるオーバーヒート
顎の骨にドリルで穴を開ける際、骨の硬さなどを考慮する必要がありますが、適切にドリリングを行わなければ骨にダメージを与えてしまう(骨がやけどしたような状態)ため、うまくインプラントが結合しなくなってしまいます。
・インプラントが細菌に感染した(インプラント周囲炎)
インプラントが細菌に感染すると、天然歯よりも進行しやすく脱落を招きやすいです。インプラントの歯周病とも言えるインプラント周囲炎は、インプラントが失敗する大きな原因の一つです。
治療を行った歯科医院側に原因がある場合もありますが、メンテナンス不足による感染は、患者様自身が防ぐ必要があります。インプラントの寿命はメンテナンス次第とも言えますから、メンテナンスを徹底する必要があるでしょう。
失敗2.メンテナンスが十分でない
メンテナンスには、自宅で行う歯磨きや歯間ブラシ、デンタルフロスを使用したセルフケアと歯科医院で行うメンテナンスがあります。どちらも十分に行わなければ感染リスクを高めてしまうでしょう。セルフケアはメンテナンスの基本ですが、歯科医院でのメンテナンスを行い、チェックを受け、インプラントのトラブルを事前に防ぐことが必要でしょう。
・歯周病治療の不十分
歯周病で歯を失った人もインプラント治療を受けることができますが、インプラント治療の前には歯周病治療をしっかり行う必要があります。これが十分でなければ、インプラントが細菌に感染するリスクが高くなってしまうのです。
また、喫煙や糖尿病などの、細菌感染のリスクを高める原因となります。
失敗3.腫れ・痛み・しびれなどの症状が長期的に続く
治療直後に、痛み・腫れなどの症状が出ることはありますが、これが長期的に続くのは問題があります。治療後は痛み止めが処方されますが、痛み止めを服用しても痛みが治まらない、我慢できないような痛みがある、といった場合には治療失敗の可能性を否定できません。
・インプラントが適切に埋入されていない
インプラントが適切な位置・深さ・角度に埋入されていないと、神経を損傷して痛みを生じたり、ご自身の残っている歯の歯根に触れて痛みが生じたりしてしまいます。
失敗4.人工歯が破損する・外れる
インプラントは適切に治療を行い、メンテナンスを続ければ長く使用することができます。しかし、使っているうちに人工歯(被せ物)が外れたり、破損してしまうという失敗も起こります。
・咬みあわせの調整が適切でない
咬みあわせの調整が適切でなければ、特定の歯に負担をかけたり、人工歯の破損を招いたりしてしまいます。
また、噛み合わせが適切でないことは、細菌感染のリスクを高めることにつながるため、正しい咬合調整ができる医師のもとで治療を行うことをお勧めします。
・アパットメントの締付けが不十分
アパットメントを十分に締め付けていなければ、人工歯がゆるんだり、外れてしまったりすることがあります。
インプラント失敗後の治療法
失敗したインプラントを撤去します。その後、以下に示す手法により治療を行います。
・骨を増やす手術
インプラントと骨が結合しない、炎症を起こしている、動揺しているなど、インプラントに不具合があり撤去しなければならない場合や、インプラントが自然と脱落してしまう場合があります。
そういった場合は、何故インプラント手術が失敗してしまったのか原因を突き止め、再度インプラントを入れられると判断されれば再手術となります。
再手術となった場合、一度インプラントを撤去した箇所、脱落した箇所はほとんどの場合、骨が減ってしまっている事が考えられる為、減った分の骨を増やす手術を行い、骨の状態が整ってから再手術をしなければなりません。
・歯肉の再生手術
インプラントを安定させ、良い状態で保たせる為には歯肉の状態が大きく関わってきます。
歯肉がインプラント手術を出来る状態でない場合、歯肉を再生させる手術が必要となり、状態が整ってから再度インプラントの手術をする事になります。
・入れ歯
インプラントを撤去する場合、状態によってはインプラントを埋め込んでいた箇所の骨を大きく削らなければなりません。その場合、前述のような骨を増やす手術や歯肉を再生する手術が出来る可能性もありますが、それぞれ自費で高額な費用が掛かる為、手術を受けられない方もいらっしゃるでしょう。
そういった場合は、入れ歯で欠損箇所を補う事になります。
しかし、骨を大きく削った箇所に入れる入れ歯は、通常よりも安定させる事が難しく、痛みも出やすく、作製するのが難しくなります。
そういった場合は、入れ歯の歯茎に当たる面にクッションの役割を果たすシリコーン加工した入れ歯や、大幅に骨や歯茎を失ってしまった場合に用いられる顎義歯など、特殊な入れ歯が必要となる可能性があります。
入れ歯の設計や適した材料についてはお口の中の状態により異なりますので、歯科医師にご相談下さい。