【インプラント・治療前】生活習慣病の歯周病がもたらす問題

歯周病の方がインプラント治療を行う場合、どのような流れで治療を進めるのでしょう。歯周病の治療が必要な理由や歯周病菌がインプラント治療へ与える影響を含め詳しく紹介します。

更新日:2021/12/06

【インプラント・治療前】生活習慣病の歯周病がもたらす問題

■目次

  1. インプラント治療前に歯周病の治療が必要!
  2. インプラントと歯周病治療、どちらが先?
  3. インプラント治療前に歯周病の治療が必要な理由
  4. 歯周病菌がインプラントに与える影響
  5. 【豆知識】
  6. 軽度の場合、同時進行で進めることもあります
  7. 記事監修

インプラント治療前に歯周病の治療が必要!

インプラント治療前に歯周病の治療が必要!

歯周病の方がインプラント治療を行う場合、歯周病の治療を行ってから、インプラント治療を行うのか、インプラント治療を行ってから歯周病の治療を行うのか、どのような順序で治療を行うのが一般的なのでしょうか。歯周病の原因となる歯周病菌がインプラントに与える影響なども踏まえながらご紹介します。

インプラントと歯周病治療、どちらが先?

一般的には、歯周病の治療を優先します。歯周病は限られた「歯」だけに発生することは少なく、複数の歯に現れる特徴があります。インプラント治療以外の部分にも発生することが多いため、歯周病の治療は必須です。

インプラント治療前に歯周病の治療が必要な理由

歯周病菌がインプラントに与える影響

歯周病は天然歯(自分の歯)と歯を支える周りの組織に起こる炎症ですが、インプラントにも同じような炎症(インプラント周囲粘膜炎、インプラント周囲炎など)がみられることがあり、これらは主に歯周病原細菌が関与しています。歯周病の方は、お口の中にその細菌が増殖しており、そのままの状態でインプラント治療を行うと、インプラント周囲炎を引き起こす確率が非常に高くなります。

また、インプラント治療の隣の歯が歯周病の場合、インプラント部分に短期間で歯周病原細菌が感染すると言われており、インプラント周囲炎の進行は歯周病に比べて10倍速いとも言われています。このことからも、インプラントを埋め入れる手術の前に、お口全体の歯周病治療を行って歯周病原細菌を可能な限り減らすことが大切です。

<歯周病治療では、次のようなことが主に行われます。>
・歯石や歯垢の除去や、歯周ポケット(インプラントと歯茎の間の溝)の洗浄
・ブラッシング方法や食生活、喫煙などの指導
・歯の汚れが溜まりやすい詰め物や被せ物の治療

初期・中期・重度の歯周病治療について>>

【豆知識】

日本歯周病学会(日本の歯周病に関わる調査や研究などを行っている学術団体)は、「歯周病患者におけるインプラント治療の指針」の中で、上記のような理由から歯周病原細菌が減ったことを確認したうえで、インプラント治療を開始することを提唱しています。また、歯周病は生活習慣病の一つとして位置づけられており、治療しても再発しやすい傾向にあるため、歯周病だった方がインプラント治療を受ける場合は、定期的に細菌検査を行うことを奨励しています。

軽度の場合、同時進行で進めることもあります

インプラントを埋め入れる手術までに「歯周病治療が完了する」または、「歯周病の症状が安定する」と見込んだ場合に、歯周病の治療とインプラント治療の治療を並行して行うこともあるようです。また、歯科医院によっては、喫煙されている患者さんに対してはインプラント治療を行わないところもあります。インプラントの生存率が非喫煙者と比較して大きく下がるという研究報告が多数あるからです。

インプラント手術を円滑に受けてインプラントを長持ちさせたいのであれば、日ごろから歯科医院を受診すること、禁煙する覚悟で臨むことが大切です。歯周病原細菌は、歯やインプラントの周囲の組織を破壊するだけでなく、病気の発症や進行のリスク因子になるといわれています。歯周病と診断された方は、適切な治療を受けて、治療後は悪化させないように予防に努めましょう。


インプラント治療は可能? ― 歯周病で歯を失った場合>>

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。