■目次
痛みや不安をできるかぎり少なくする麻酔術
局所麻酔
インプラント手術は、歯を削る時や、歯の神経をとる時、歯を抜く際に使用する歯科局所麻酔薬と同じ麻酔薬を使用し、局所麻酔下で行われます。
インプラント治療をうける患者様の場合は、歯を失っているのですから、過去に歯科局所麻酔下の歯科治療を受けている可能性が高いといえます。歯科局所麻酔は、目新しいことではありませんので、ほとんどの場合心配ないとされています。
極細の麻酔針を用いて丁寧に歯科局所麻酔を行います。電動の注射器を使用し少量ずつ麻酔薬を投与することで、痛みの少ない治療を行うことができます。
静脈内鎮静法
手術侵襲(体に傷をつけること)の大きいオール・オン・フォーや、サイナスリフト、各種骨造成の場合は、局所麻酔と静脈内鎮静法を併用し、インプラント手術を行う場合もあります。
静脈内鎮静法とは、腕に点滴をしながら鎮静剤を投与し、ややボーッとして眠くなる状態を作る方法のことです。治療中の不安や緊張を軽減させる方法の一つで、全身疾患をお持ちの方や緊張の強い方の歯科治療においては大変有効です。
▼ 静脈内鎮静法を用いることがあるインプラント手術例
オール・オン・フォー
サイナスリフト
各種骨造成(ソケットリフト、GTR法、GBR法、RPR、ディストラクション)
▼インプラント手術中の安全対策を万全にするため、以下のような設備や処置が使われます。
生体モニター
インプラントなどの口腔外科手術の際には、生体情報モニターを使用し、脈拍・血圧・心電図・呼吸等の全身状態を厳重に監視します。
生体情報モニターにデータを映し出すことにより、全身状態をリアルタイムで把握しながらインプラント手術を行うことができます。これにより、体調の変化が起きた場合でも、迅速な対応が可能となります。
ただし、この生体情報モニターは、歯科医院に常設されているとは限りません。
静脈路の確保
インプラント埋入手術の際には、ほとんどの症例で静脈路を確保して点滴を投与し、インプラント手術をおこなうことにより体調の変化が起きた場合でも迅速な対応が可能となります。
手術中の緊張や不安、疼痛により心身にストレスをもたらした場合などには、速やかに静脈路より抗不安薬や鎮痛剤を投与、静脈内鎮静法へ移行します。静脈路の確保はインプラントの手術環境を整える上で必要と考えられますが、一般的に行われるものではありません。
静脈内鎮静法
局所麻酔下のインプラント手術に、静脈内鎮静法を併用すると手術中の意識が薄れ、痛みや恐れを感じなくなり、心身に与えるストレスを減少させることができます。健忘効果があるため手術中の記憶はほとんどなくなります。
酸素吸入
酸素ボンベを常備して、インプラント手術中は経鼻より酸素吸入を行います。
静脈内鎮静法では、インプラント手術終了後しばらく休憩をとるだけでその日のうちに帰宅することができます。ただし、静脈内鎮静法を行った直後は安全のため、お車の運転はできません。