■目次
抜歯後一定の期間を経てインプラントを埋める方法
抜歯待時法とは
広義で言う抜歯待時埋入法とは、抜歯をした後の傷口がある程度回復した4~16週後(場合によっては半年後)にインプラントを埋入する方法です(細かく分類すると、早期埋入、遅延埋入、待時埋入などに分かれます)。インプラント治療が始まった頃から行われている治療法です。
抜歯待時法を行う理由
虫歯や、歯周病、外傷などによって抜歯が必要となった歯は、歯を支える周りの骨(歯槽骨)が吸収して(痩せて)いたり、歯茎が損傷していたりします。抜歯後の損傷が大きい状態でインプラントを埋め込んでしまうと、感染のリスクが高まったり、治療後の見た目や機能に影響を及ぼす事があります。近年の傾向としては、治療期間を短縮できることから、抜歯後すぐにインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入法」が用いられる事も増えています。
しかし、お口や身体の状態によっては、抜歯待時埋入法が適用されます。
ここでは、抜歯待時埋入法についてご紹介します。
>>歯を抜いたその日にインプラントを入れる「抜歯即時埋入」
インプラントを埋め入れるタイミング
抜歯待時埋入法では、インプラントを埋入するタイミングは2回あります。
1.歯茎の治りを待って、抜歯から1~2ヵ月後にインプラントを埋め込む方法
2.歯茎と顎の骨の治りを待って、抜歯から3~4ヵ月後(長ければ半年後)にインプラントを埋め込む方法
歯科医師の診断によって適したタイミングで埋入手術を行います。
「遅延埋入法」
歯茎と顎の骨が完全に治ることを待ち、抜歯から4ヵ月以上経過してからインプラントを埋め込む方法を「遅延埋入法」といいます。骨の治りに長期間必要とする場合に適用されます。抜歯後放置すると顎の骨は、次第に痩せていく傾向にあるため、骨移植と併用されることがあります。
抜歯待時埋入法のメリット
・適応範囲が広い
・感染のリスクを抑えられる
・抜歯後、骨の治りを待つため、理想的な位置にインプラントを埋め込める。
・インプラントを安定した骨に埋入できるため、良好な初期固定が期待できる。
「抜歯即時埋入法」と比較したメリット
・高度な技術を要しないため、早期にインプラントが脱落する可能性が低い
・歯茎の移植(歯茎の見た目を整えたり、機能的にするための手術)や、歯茎を縫い合わせることが容易である。
抜歯待時埋入法のデメリット
「抜歯即時埋入法」と比較したデメリット
・傷口が治ることを待ってからインプラントを埋入するため治療期間が長くなる
・外科手術が1回多くなる
インプラント治療には様々な方法があり、お口や身体の状態によって適した治療法は異なります。詳しくは、インプラント治療を行う歯科医院でご相談ください。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。