「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」、あなたに合った治療法は

「歯を抜いたまま放置している箇所の治療をするべきだとは思っているが、どの治療法を選べば良いの?」そんなお悩みの方はいませんか。 歯の欠損箇所にインプラント・入れ歯・ブリッジを入れる治療は、いずれも歯を失った際の選択肢です。今回は、各治療法の違いに加えて、インプラント治療のメリット・デメリットを主に解説します。

更新日:2024/08/05

■目次

  1. インプラント・入れ歯・ブリッジの違いを比較|費用や治療期間の違いは?
  2. 歯がない場合の治療の選択肢
  3. インプラント
  4. 入れ歯(義歯)
  5. ブリッジ
  6. インプラントを選ぶメリット&デメリット
  7. インプラントを選ぶメリット
  8. 自分の歯に近い感覚で噛める
  9. 両隣の健康な歯を削らずに済む
  10. 審美性の回復が期待できる
  11. インプラントのデメリット
  12. 外科手術が必要になる
  13. 顎の骨に十分な量がなければ治療できない
  14. 顎の骨に十分な量がなければ治療できない
  15. 公的医療保険適用外のため費用が高額になりやすい
  16. 入れ歯やブリッジに比べて治療期間が長い
  17. まとめ

インプラント・入れ歯・ブリッジの違いを比較|費用や治療期間の違いは?

「歯を抜いたまま放置している箇所の治療をするべきだとは思っているが、どの治療法を選べば良いの?」そんなお悩みの方はいませんか。

歯の欠損箇所にインプラント・入れ歯・ブリッジを入れる治療は、いずれも歯を失った際の選択肢です。今回は、各治療法の違いに加えて、インプラント治療のメリット・デメリットを主に解説します。

歯がない場合の治療の選択肢

歯を失った場合に使用される主な治療法としては、インプラント・入れ歯・ブリッジの3種類です。それぞれの概要を簡潔に説明します。

インプラント

インプラント治療では、最初に外科手術で歯を失った場所に穴を開けます。開けた穴にチタンなどの金属で作られた人工歯根を埋め込んで、人工歯根と人工歯を接続する「アバットメント」という装置を装着し人工歯根の上に人工歯を固定します。

入れ歯(義歯)

入れ歯には、失った歯の本数が少ない場合に用いる「部分入れ歯」と、歯が全く残っていない場合に使われる「総入れ歯」の2種類です。部分入れ歯では、歯を失った部分の両隣にある歯にバネを掛けて固定し、人工歯で歯を失った部分をカバーします。総入れ歯は歯茎を大きく覆います。

ブリッジ

ブリッジは、歯を失った部分の両隣にある歯を削って土台にし、ブリッジという名前の通り、橋渡しの人工歯を被せる治療法です。

インプラントを選ぶメリット&デメリット

インプラントは、歯を失った際の選択肢として特に人気のある治療法です。インプラント治療を受けることによって多くのメリットを享受できますが、デメリットもあります。

インプラントを選ぶメリット

インプラントは見た目も良く質の高い治療ができます。インプラントによって得られる主なメリットは以下の3つです。

自分の歯に近い感覚で噛める

インプラントは顎に穴を開けてねじを埋め込んで被せ物を固定するため、天然歯に近い噛み心地や使用感が得られます。公的医療保険適用の入れ歯やブリッジでは天然歯に匹敵する使用感や見た目を実現することは難しいため、大きなプラスです。

両隣の健康な歯を削らずに済む

ブリッジ治療の際には、歯を失った部分の両隣にある健康な歯を削らなくてはなりません。ブリッジと部分入れ歯では人工歯の土台となる両隣の歯に大きな負担がかかるため、歯が割れるなどして周囲の歯の寿命が縮まる危険性があります。インプラントであれば両隣の歯を削る必要がないことに加えて、周囲の歯に大きな負担がかかりません。

審美性の回復が期待できる

インプラントは機能面だけでなく、審美面においても天然歯に近い仕上がりが可能です。金属のブリッジや部分入れ歯のハリガネのような金属が見えることもなく、周囲の歯と比べてもほとんど違和感がないため、人前に出ることが多かったり、見た目にこだわりたいという人にとっては、インプラントは非常に魅力的でしょう。

インプラントのデメリット

インプラントのデメリットとして次の4つがあります。

外科手術が必要になる

インプラント治療の際に外科手術が必要です。手術は患者さんの負担が大きくなるだけでなく、患者さんの健康状態によっては手術ができなくなります。

顎の骨に十分な量がなければ治療できない

インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込む治療法であるため、該当箇所の顎骨の量や厚みが不足している場合は、人工歯根を埋め込むことができずインプラント治療が不可能です。顎の骨の量を補う「骨造成」を行うことで治療が可能になるケースもありますが、追加の手術が必要です。

顎の骨に十分な量がなければ治療できない

インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込む治療法であるため、該当箇所の顎骨の量や厚みが不足している場合は、人工歯根を埋め込むことができずインプラント治療が不可能です。顎の骨の量を補う「骨造成」を行うことで治療が可能になるケースもありますが、追加の手術が必要です。

公的医療保険適用外のため費用が高額になりやすい

インプラントは公的医療保険の適用外であるため、治療費は患者さんの全額自己負担です。インプラントで補う歯1本につき300,000~500,000円と高額な費用が必要になります。インプラント治療の際には、1年間の治療費が100,000円以上であれば所得税の控除が受けられる「医療費控除」によって、負担を減らすことができます。

2024年3月 株式会社メディカルネット調べ

入れ歯やブリッジに比べて治療期間が長い

インプラントの治療にかかる期間は、3ヶ月~半年です。通常のブリッジと入れ歯の治療は1ヶ月以内で完了することが多いのを考えると、インプラントの治療期間は長いです。外科手術があることや金銭面など患者さんの負担が大きい治療法であることは留意が必要です。

まとめ

歯を失った場合の主な治療法としては、インプラント、入れ歯、ブリッジの3種類です。3つを比較すると、機能性や審美性に優れており、周囲の歯に負担をかけないインプラントがメリットの多い治療です。

インプラント治療には外科手術が必要となることに加えて、治療費が高額となり、身体的な事情により治療が適応されない可能性があります。

どの選択肢を選ぶべきかは患者さん個々の事情によって変わるため、3種類の治療の特徴を把握したうえで、自分に合った治療を選びましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開