痛み止めや抗生物質、飲んでも大丈夫?インプラント治療後に飲むお薬と副作用などの注意点

歯科インプラント治療は、歯茎を切って、顎の骨にインプラントを埋め入れる外科手術です。外科手術の際は、埋め入れるインプラントの本数にかかわらず、鎮痛剤(痛み止め)や、抗生物質(化膿止め)、消炎酵素剤(炎症止め)などの服用薬を術後(場合によっては術前)に服用することがあります。ここでは、インプラント治療を受ける前に、どのような症状をお持ちの方が注意したほうがよいのか、それぞれのお薬にどのような効果があるのか、についてご紹介します。

更新日:2021/12/06

■目次

  1. 副作用は!?インプラント治療で使用する薬に注意が必要な方
  2. 鎮痛剤(痛み止め)
  3. 抗生物質(化膿止め)
  4. 消炎酵素剤(炎症止め)
  5. 記事監修

副作用は!?インプラント治療で使用する薬に注意が必要な方

下記の症状に該当する方は、治療を始める前に歯科医師に申告しましょう。

<胃腸の弱い方>
お薬の種類によって吐き気、腹痛、下痢などの症状が現れることがあります。副作用の少ないお薬に変えてもらうか、胃薬を一緒に処方してもらいましょう。お薬の服用ができない場合には、こまめにお口の中を消毒するなどの対策をとることがあります。

<心臓や、腎臓、肝臓などの疾患をお持ちの方>
状態によっては、持病が悪化する恐れがありますので、かかりつけの内科医にインプラント治療についての適否に加え、服用薬について問題ないか確認しましょう。

<その他の持病や、常用しているお薬などがある方>
インプラント治療を行うことや服用薬に問題がないかの確認が必要です。

<アレルギーのある方>
お薬には、卵や大豆など食品由来のものもあります。服用薬に問題がないかの確認が必要です。

<妊娠中、または授乳中の方>
服用したお薬は胎盤や母乳を通して胎児や乳児に到達します。状態によって、副作用の少ないお薬に変えたり、治療の機会を検討したりすることがあります。妊娠されている方であれば、インプラント治療の場合、出産後に行うことが多いと思います。

<過去にお薬を服用して、かゆみや、発疹、下痢、嘔吐、喘息などのアレルギー症状が出たことがある方>
副作用の少ない薬に変えたり、薬の服用を止めて、こまめにお口の中を消毒したりなどの対策をとることがあります。

鎮痛剤(痛み止め)

痛みや腫れを抑える効果があります

術後に、インプラントを埋め入れた部分が一時的に痛むことがあります。鎮痛薬は痛みを抑えるだけでなく、炎症を抑える効果もありますので、腫れや発赤などの症状を和らげ、熱を下げる作用もあります。ただし、対症療法になりますので、熱や痛みの原因そのものを治すことはできません。

痛み止め服用時の注意点
頓服薬(症状が出たときにだけ服用する薬)として鎮痛薬を渡された場合は、痛みのある時だけ飲みましょう。なお、内服薬として鎮痛薬を渡された場合は、炎症を鎮める効果も併せて期待していますのですべて飲みきりましょう。なお、多量のアルコールは胃や肝臓への副作用が出やすくなりますので、飲酒は極力控えた方が望ましいでしょう。

抗生物質(化膿止め)

殺菌の効果があります

術後にインプラントを埋め入れた部分から、雑菌が入り化膿することも考えられます。抗生物質は、殺菌作用を示しますので、感染を防ぐことを期待しています。

抗生物質服用時の注意点

抗生物質は必ず指示通りに内服しましょう。飲んだり止めたりを繰り返すと、薬の効きが悪くなるだけでなく、耐性菌(抗生物質が効かない病原菌)の発生を助長する恐れがあります。

消炎酵素剤(炎症止め)

炎症の悪化を防ぎます

術後にインプラントを埋め入れた部分から、雑菌が入り化膿することも考えられます。消炎酵素剤は、炎症を悪化する成分を分解・除去する効果がありますので、腫れや痛みを和らげることを期待しています。

[f1消炎酵素剤服用時の注意点
消炎酵素剤は傷口の治りを助ける働きがありますので、指示通りに内服しましょう。

処方されるお薬の種類は歯科医院によって異なり、また、お薬を服用する期間はお口やお身体の状態によって異なります。お薬を服用してから気になる症状(かゆみ、発疹、下痢、嘔吐、腹痛、喘息など)が出た場合は、副作用が出ていることも考えられます。その際は、自分の判断で服用の調整を行うことはせずに、速やかに担当の歯科医師に連絡し、症状を伝えて服用の指示を受けましょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。