■目次
【従来からの治療法】顎の骨が少ない方への補助手術「骨移植」
顎の骨が少ない(薄い)場所へのインプラント手術は、埋入するインプラントが顎の骨から突き出たり、顎の骨の近くの神経を傷つけたりするリスクがある難しい症例です。 従来から行われている治療法に、インプラントを埋入する前に自家骨(別の部位の自分の骨)を移植する骨移植(ボーングラフト)や人工骨を填入して骨の再生を促す補助手術があります。
[参考] 上顎の骨の厚みが足りない人への骨移植の流れ
上顎の骨の量が少ないと、骨の上にある空間(上顎洞)にインプラントが突き抜ける恐れがあるため、骨移植で顎の骨を厚くしてからインプラントを埋入します。
骨移植の懸念点
骨移植によって、顎の骨が少ない方でもインプラント手術ができるようになりました。自家骨や人工骨で増やした顎の骨がインプラント埋入できる状態まで治癒する期間がかかります。また、骨の再生を促す人工膜(メンブレン)や人工骨などの材料・添加物を使うことで、アレルギーや感染のリスクが少なからずありますが、昨今の再生医療の発展によって、このような懸念点は改善されてきています。
再生療法の併用 ~PRP再生療法からCGF再生療法へ~
◇PRP再生療法
PRP(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿[たけっしょうばんけっしょう])は、患者様ご自身から採取した血液を遠心分離して、血小板を濃縮した血漿のことです。血液の成分「血小板」には、細胞が増殖するために必要な成長因子が含まれていて、傷の治癒や骨・筋肉などの組織を再生させる細胞を活性化する作用があります。
PRP再生療法を併用した骨移植について
インプラント治療では、移植する自家骨や人工骨にこのPRPを混ぜて、痛みや腫れの軽減と治癒を促進する目的で使用します。しかし、血小板を濃縮したPRPを再生治療に使うには、「凝固剤としてウシやヒト由来のたんぱく質分解酵素(トロンビン)や塩化カルシウムなどの添加物が必要」という難点がありました。その点を改善したのが、「CGF再生療法」です。
自己血液から生成するCGFを用いた再生療法
◇CGF再生療法とは
人の体は通常、怪我で血管に傷がつき血が出ると、血液中の血小板が集まって血管の穴を埋めるために、血液を固める成分(凝固因子)が放出され、フィブリンという物質が作られ、傷の治りを促進させます。
CGF(Concentrated Growth Factors)とは、専用の遠心分離器で患者様ご自身の血液を遠心分離して生成したフィブリンと傷の治癒や組織の再生に有効な血小板や成長因子を濃縮したゲル状の塊です。遠心分離器の回転数を精密にコントロールして遠心分離することで、血を固めようとする血液の成分(凝固因子)が刺激されて、ご自身の血液のみから作られる完全自己血液由来のフィブリンゲルです。
インプラント治療では、骨が足りない場所にCGFを填入したり、膜状にして骨を覆って骨の再生・治癒を促進したりするのに使用します。 CGFは添加物を入れずに、ご自身の血液のみで生成できるので、従来の骨移植で懸念されていたアレルギーや感染のリスクが軽減し、より安全に、患者様のお体への負担が少ない治療が期待できます。
【CGF再生療法で期待できること】
・傷の治り、骨や歯肉の再生が促進され治癒期間が短縮
・完全自己血液由来によりアレルギーや感染のリスクを軽減
【CGF再生療法に適している方】
・顎の骨が少なくてインプラントができないと言われた方
・できるだけ短期間で、お体への負担が少ない治療をされたい方
※医療機関、患者様の症状により個人差があります。
CGF再生療法とインプラント手術を併用した治療の流れ
◇顎の骨が少ない方のケース
STEP1 血液の採取
オペ当日に患者様から採血を行います。
STEP2 遠心分離
専用の遠心分離器で採血した血液を遠心分離しCGFを得ます。(所要時間15分程度)
STEP3 インプラントの埋入とCGFの填入
手術では、インプラントの埋入と同時に、患者様の血液から得たCGFを填め込みます。
※注意
医療機関、患者様の症状により個人差があります。