■目次
サイナスリストとは?
通常、上の奥歯を抜いてしまうと、上顎洞 [ じょうがくどう ] が下側に拡大し、同時に失った歯の周囲の本来歯を支える役目だった歯槽骨の厚みが加速的に減少していきます(STEP2参照)。
歯を支える顎の骨の部分(歯槽骨)の高さが5ミリ以下の症例では、インプラントを埋入しても上顎洞に飛び出してしまい固定できません。 したがって、サイナスリフトという治療手法を選択する必要があります。
上顎洞は、上あごにインプラントを埋入するときの解剖学的な制約事項となっています。かつては、上あごの奥歯はインプラント治療ができない場合が多くありました。しかし、この方法が確立され、上あご奥歯の部分にもインプラント治療ができるようになりました。但し、治療期間が6ヶ月~1年と長めであるという難点はあります。 また、歯槽骨が5ミリ以下の場合は仮に「入れ歯」を入れても土台が柔らかく固定されない為、安定性も非常に悪く、インプラントのほうが効果的です。
サイナスリスト手術の流れ
STEP1
上顎の歯槽骨の上部(頬骨の奥)には、上顎洞(サイナス)という大きな空洞があり、鼻腔へとつながっています。
STEP2
上の奥歯を失ってしまうと、上顎洞が下方に拡大していきます。
同時に、失った歯の周囲の歯槽骨が吸収されていくので、歯槽骨の厚みが加速的に減少していきます。
STEP3
上顎の歯槽骨にインプラントを埋入する為の高さ(厚み)が不足しているので出来ません。また、仮に埋入したとしても安定せず、直ぐに駄目になってしまいます。
この場合は、サイナスリフトという手法を用い骨の高さを確保(作る)する必要があります。 サイナスリフトは、歯槽骨が5ミリ以下の症例でも十分対応可能です。
STEP4
サイナスリフトとは、Maxillary Sinus Augmentation の別称で、上顎洞粘膜(シュナイダー膜:上顎洞と歯槽骨の間の粘膜)を洞底部から剥離して挙上し、その挙上によってできた空隙に自家骨(自分の骨)や骨補填剤を移植してインプラントを埋入するのに必要な歯槽骨の高さ(厚み)を確保します。
STEP5
歯槽骨の厚みがある場合は、サイナスリフトとインプラント埋入の処置を同時に行いますが(一回法)、著しく歯槽骨が吸収されているケースでは、まずサイナスリフトを行い、歯槽骨が安定するまで約4~6ヶ月ほど治癒期間を置きます。
その後、経過を診てインプラントを埋入します。