上顎洞挙上術(サイナスリフト)

歯科インプラントに関する治療説明『上顎洞挙上術(サイナスリフト)』についてご紹介します。歯を失ってお困りの方、入れ歯・ブリッジが合わない方は是非ご覧下さい。

更新日:2020/07/07

■目次

  1. 上顎洞底挙上術(サイナスリフト)とは、何をするのですか?
  2. 歯が揃っているときの上顎骨(右側)
  3. 上顎骨①
  4. 上顎洞②
  5. 上顎洞③
  6. 上顎洞④
  7. 記事監修

上顎洞底挙上術(サイナスリフト)とは、何をするのですか?

上顎骨の内部には上顎洞と呼ばれる大きな空洞が存在します。この空洞は様々な要因(例:上顎洞部の悪性腫瘍、上顎の奥歯の抜歯など)がきっかけとなり、拡大する傾向を持っています。歯がなくなると歯槽骨もが吸収しますが、上顎においては歯槽骨と上顎洞の両方から骨吸収が進行することも少なくありません。空洞が大きいとインプラント体が上顎洞に突き抜けてしまい、蓄膿症やインプラント体の安定性の問題が生じる可能性があります。

そこで、空洞が大きくなった上顎洞の底の部分に移植骨や骨補填材、最近ではインプラント本体の一部を挿入して、上顎洞を押し上げる技術が開発されました。これが上顎洞底挙上術(サイナスリフト)です。

歯が揃っているときの上顎骨(右側)

上顎骨①

1.歯がなくなると、歯槽骨の吸収が進行します。上顎の場合は、図のように上顎洞の拡大も進行する可能性もあり、歯槽骨はさらに薄くなります。

上顎洞②

2.歯槽骨の骨量が少なくなると、図のように必要なインプラントが埋入できなくなリます。

上顎洞③

3.歯槽骨の薄い部分の上顎洞底部に移植骨や骨補填材を填入します。このとき、インプラントを同時に埋入する場合と、インプラントは骨の造成が完了してから行う場合とがあります。骨があまリにも薄い場含は、インプラントの固定ができないので、後者の方法を選択します。

上顎洞④

4.インプラントが生着したら、人工の歯(上部構造)を製作し装着します。

資料提供:ゼニス出版

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。