■目次
インプラント治療で書類が必要となる理由
書類がないと治療が受けられないの?
インプラントは虫歯や歯周病、外傷などによって歯を失った際の治療法のひとつで、全額自己負担の自由診療です。自由診療は治療方法や費用に法的な決まりがなく、歯科医師(歯科医院)が独自に決めた治療内容、治療費に対し、それに同意した患者様との個別契約です。
インプラント治療は、一般的な歯科治療と比べると費用が高額です。また、治療内容が複雑であるため、書面をもって説明を行う歯科医院が多くみられます。しかし、なかには口頭だけで説明する歯科医院もあり、その場合に聞き違いや思い違い、言った、言わないなどから様々なトラブルが発生する可能性があります。口頭だけで説明が始まった場合は、「書面で説明を受けたい」ことを希望された方がよいでしょう。
>>保険診療と自由(保険外)診療について
>>インプラント治療は可能? ― 外傷(怪我)で歯を失った場合
>>インプラント治療は可能? ― 虫歯で歯を失った場合
>>インプラント治療は可能? ― 歯周病で歯を失った場合
【2】精密検査後2 ~見積書~
費用の詳細については、治療計画書と同じ時期に渡されることが多くみられます。歯科医院によっては、治療計画書と見積が一枚の書類にまとめて記載されていることもあります。金銭トラブルを避けるために、費用に関する書類は必ず発行してもらいましょう。
〔記載事項の例〕
・精密検査料
・診断料
・インプラントを埋め入れる手術料
・服用薬代
・インプラント埋入のためのガイド作製料
・インプラント代
・アバットメント代
・上部構造代
・治療期間中の仮歯代などのそれぞれにかかる費用と総額
!見積書以外に発生する費用もあります!
再診料や抜歯代、治療終了後のメインテナンスの料金など、見積書以外に別途発生する費用もありますので、それについて事前に確認しておきましょう。
>>インプラント治療にかかる費用(見積書)チェックリスト
【3】治療同意後 ~同意書(承諾書)~
インプラント治療内容や費用について説明を受け、その歯科医院で治療を受けることを決めたら、同意した内容や、日付、住所、署名などを書面で残す歯科医院が多くみられます。この際に、「治療実施中に緊急の処置が必要となった場合に適宜処置をされること(たとえば、インプラント手術中の大量出血が起こった、または治療中に容態が急変したなどが起こった際に、歯科医師の裁量によって適切な処置を受けること)」の承諾を併せてとることも多くみられます。
〔記載事項の例〕
下記について説明を受け、理解・納得したため、インプラント治療に同意します。
・インプラント治療以外で失った歯を補う治療法
・インプラント治療について、治療方法や、期間、費用の詳細
・インプラント手術の危険性(出血、腫れ、痛み、発熱)及び合併症(口角炎、鼻血、神経麻痺など)
・インプラントが結合しなかった場合の対応やその際の費用
・治療後のメインテナンスについて
【4】その他1 ~支払い方法~
支払い方について記載された書類が用意されているところもあれば、治療計画書や見積書にまとめて記載されているところもあります。支払う手段は、現金のみのところもあれば、振込やクレジット決済、デンタルローン(アプラスなど)の利用が可能な場合もあるので、事前に確認しておきましょう。デンタルローンは手数料がかかりますが、ご自身の経済状況に合わせた分割払いが可能です( 72回払いなど)。お金にあまり余裕がないけど治療をすぐに受けたい方は多く利用しています。
〔記載事項の例〕
支払い方法とその期日
現金の窓口支払い
金融機関の口座番号の案内
小切手の取り扱いの有無
取り扱いのあるクレジットカード、デンタルローン申請書類
>>インプラント治療 費用の支払方法について
【5】その他2 ~保証書~
インプラント治療中や治療後に「インプラントが割れる・欠ける・抜ける」などのトラブルが起こることもあります。歯科医院のなかには、その際の再修復・再手術の費用を歯科医院、または医院と提携している保証会社が負担する制度を設けるところがあります。保証書は、このような制度を採用している歯科医院で治療を受けた方に限り、渡されています。
〔記載事項の例〕
・保証期間について
・保証対象となる場合、保証対象外となる場合、一部負担金の有無
>>万が一の出来事に備える「インプラント10年保証」
これらの書類の形式は歯科医院によって異なります。不明点はその都度、必ず確認しておきましょう。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。