インプラント治療に使われるパーツ カバースクリューやアバットメントについて

インプラント総合サイトです。インプラント治療には様々な部品が使用されます。ここではインプラントの部品についてご紹介します。

更新日:2020/08/05

■目次

  1. インプラント治療に使われる部品
  2. インプラント体
  3. ヒーリングアバットメント
  4. カバースクリュー(2回法の場合に使用)
  5. アバットメント
  6. ヒーリングキャップ
  7. プロビジョナルレストレーション
  8. 最終的な人工歯
  9. まとめ
  10. 記事監修

インプラント治療に使われる部品

インプラント治療は失った歯の機能や見た目を取り戻す治療法で、複数のパーツを使って治療を行います。

インプラント体

外科手術にて顎の骨(歯槽骨)に埋め込まれるもので、フィクスチャーや人工歯根とも呼ばれます。適切な処置と環境下で埋めることで、顎の骨と結合させることができ、歯の根っこに相当する役割を果たします。使用されている主な素材は、医療用グレード(医療用として認可された)のチタン(※)です。また、インプラントの表面には、インプラントと顎の骨が結合しやすいように、ブラスト処理、酸処理、酸化処理、機械研磨処理などの加工がされており、製造会社によって特徴が異なります。

※国内で受けるインプラント治療は、多くの場合に厚生労働省で認可されたものが使用されています。しかし、患者様の同意があれば、歯科医師の責任の下でインプラント製品の個人輸入及び使用が認められているため、外国の製品を使うこともあります。国内の製品と素材や規格が同じとは限りませんので、気になる方は確認しておくとよいでしょう。

ヒーリングアバットメント

埋め込んだインプラント体上部に、一時的に装着されるもので、時期が来たら外してアバットメントと交換します。ただし、お口の状態によっては、直接アバットメントを接続し、ヒーリングアバットメントを使用しないこともあります。使用の例としては、インプラント手術の一回法の場合や、単独歯の(歯を一本だけ失った)場合、カスタムアバットメント(お口の状態に合わせて技工所で作製するアバットメント)を装着する場合などに用いられます。使用されている主な素材は、医療用グレードのチタンです。

>>インプラント手術 一回法手術(1ピース型)について
>>インプラント手術 一回法手術(2ピース型)について

カバースクリュー(2回法の場合に使用)

インプラント治療の2回法手術の際に用いるパーツで、顎の骨にインプラント体を埋め入れた後に、インプラント体上部に装着するネジのことをいいます。ネジで蓋をすることによって、顎の骨とインプラントが定着する期間に、インプラント体の中に歯茎や骨などが入り込むことを防ぎます。なお、カバースクリューは一時的に装着するもので、アバットメントや人工の歯を接続する直前に外して処分されます。

>>インプラント手術 二回法手術について

アバットメント

インプラント体と失った歯の代わりとなる人工歯を連結するためのもので、専用のネジでインプラント体上部に接続されます。埋め入れたインプラント体の位置や歯茎の厚みに合ったものを装着しますが、既製品のアバットメントを用いる場合と、個人に合わせて作製したカスタムアバットメントを用いる場合があります。使用されている主な素材は、チタン合金やジルコニアなどです。専用ネジの素材はチタン合金であることが多いようです。

ヒーリングキャップ

アバットメントを装着したが仮歯や人工の歯を装着するまで期間がある場合、アバットメントに汚れが入り込んだり、傷ついたりすることを防ぐ一時的な蓋のことで、アバットメント上部に接続します。使用されている主な素材は、プラスチックや医療用グレードのチタンなどです。

プロビジョナルレストレーション

インプラント手術後から使用される仮歯のことで、専用のネジや緩い(外しやすい)セメントなどでアバットメント上部に装着します。最終的な上部構造ができるまで一時的に装着されるものですが、お口の状態によっては使用しないこともあります。プロビジョナルレストレーションは、見た目を保つだけのものではなく、噛み合わせのリハビリや、周りの歯や歯茎、粘膜との関係などを調整し、患者様の要望に合わせて最終的な人工歯作製の参考となります。使用されている主な素材は、レジン(プラスチック)です。専用ネジの素材はチタン合金や金合金であることが多いようです。

>>インプラント治療期間中の仮歯について

最終的な人工歯

アバットメントの上に接続されるもので、上部構造とも呼ばれます。専用のネジやセメントなどでアバットメント上部に装着し、歯冠(歯茎から上部分の歯)に相当する役割を果たします。使用されている主な素材は、セラミック類(ジルコニアセラミック、オールセラミックハイブリッドセラミック)、金属類(メタルボンド・ゴールドクラウン、パラジウムクラウンなど)などがあります。また、取り外しできる入れ歯を装着することもあります。専用ネジの素材はチタン合金や金合金であることが多いようです。 

>>自分の歯の代わりとなる人工歯を選ぶポイント

まとめ

日本国内だけで30種類以上のインプラントが使われているといわれていますが、これらには共通の規格はありませんので、基本的に他社の製品と組み合わせて使えないと考えてよいでしょう。治療を受ける歯科医院によって取り扱う製品は異なりますので、もしもの時に備えて、治療前にどのよう製品を使うのか確認しておくとよいでしょう。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。