■目次
この記事のポイント3つ
・医療費控除は、年間に支払った医療費が一定額を超えると、税金が軽減される制度です。
・インプラント治療のような高額な治療にも適用され、一定の条件を満たせば税額が戻る可能性があります。
・例えば、1本40万円のインプラント治療を受けた場合、年収400万円で保険金の受給がない場合、約6万円の還付が見込めます。
インプラント治療は確定申告の医療費控除の申請ができる?
インプラント治療には確定申告の医療費控除が基本的に適用され、税金の軽減(所得税の還付)を受けられます。治療費が高額であるため、医療費控除を活用することで、数万円から数百万円の還付を受けることも可能で、経済的負担を軽減できます。
医療費控除とはどんな制度?
医療費控除とは、1月1日から12月31日の1年間に自分自身又は生計を一にする配偶者や親族のために医療費を支払った場合、医療費が一定額(10万円)を超えるときに、所得控除を受けることができる確定申告の控除です。
医療費控除の対象となるための条件3つ
医療費控除を受けるには、下記の3つの条件があります。
1.納税者が、自分自身又は自分と生計を一にする配偶者やその他の親族の為に支療費の合計が「10万円」もしくは、「総所得金額の5%(※)」を超えること
※総所得金額が200万円未満の場合、「総所得金額の5%」を超えると適用されます。
サラリーマンの方で、ほかに給与収入などがない場合、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄が総所得金額(課税対象金額)に該当します。
→医療費控除の申告方法と提出の流れは『インプラントの医療費控除の申告方法と還付額について』の記事をご覧ください。
医療費控除はいくら戻る?計算方法はこちら
医療費控除による還付金額は、所得総額と一年間にかかった医療費によって大きく変わります。控除金額がいくら位になるのか計算しましょう。保存して医療費控除申請の際にご利用ください。
医療費控除の求め方
控除金額の計算方法です。
※控除される金額の上限は200万円です。
1年間の医療費 - 保険金などの受給額 - 10万円または所得税の5% = 医療費控除額(上限200万)
ここで、注意して頂きたいのが、「医療費控除額=戻ってくるお金」ではないことです。戻ってくる金額は以下のように計算します。
医療費控除額 × 所得税率 = 戻ってくる金額(還付金額)
※詳しくは、最寄りの税務署や役所の税金相談課へご相談ください。
※一般的に支出される水準を著しく超えると認められた場合は、医療費控除の対象になりません。
インプラント治療の相場で医療費控除を計算するといくら?
インプラントの治療を受けて医療費控除を計算すると、いくらになるでしょうか。相場の40万円を目安に計算します。
*年収は日本人のほぼ平均の400万円とし、保険金などの受給がない前提で計算します。
40万円(1年間の医療費)-0円(保険金などの受給額)-10万円=30万円(医療費控除額)
還付金額は、医療費控除額30万円の所得税率分となります。
30万円(医療費控除額)×20%(年収400万円の所得税率)=6万円(戻ってくる金額)
結果、年収400万円で保険金などの受給額がない場合、40万円のインプラント治療を受けた場合、約6万円が戻ってきます。
インプラント治療の費用に関するよくある質問
インプラント治療の費用に関する疑問を解決しましょう。
インプラント治療には公的医療保険が適用されますか?
現在、インプラント治療は基本的に保険適用外です。自由診療のため、各医院によって料金設定が大きく異なり、地域差も若干あります。
インプラント治療にいくら予算が必要なのでしょうか?
インプラント治療は、自費診療のため医院により治療費が大きく異なり、1本につき40-50万円が一般的です。その方のお口の中の状況により、治療計画(本数など)が変わり、治療費も変動します。
料金設定は医院や地域で若干の差があるので、直接歯科医院へ問い合わせるか、ホームページなどで費用を確認しましょう。
また、インプラント治療に伴う検査(CT検査など)で別途費用(2~3万円)が必要となることが多いです。他に全身麻酔などのオプションを選択すれば、別途加算されます。
きちんと見積もりを確認し、十分な説明を受け、納得して治療を開始しましょう。
2025年1月 株式会社メディカルネット調べ
まとめ
インプラント治療のような高額な治療は、医療費控除が適用になります。上記のように、簡単に控除額を計算することが出来ます。インプラント治療を受けようと思っている方で、金額で悩んでいる方は、医療費控除でいくら戻ってくるのかを把握すると、経済的な悩みが緩和されるかもしれません。ぜひ、計算してみてください。公共交通機関の交通費も入れることもできますので、忘れずに入れましょう。
また、過去5年間であれば、税務署に申請することで医療費控除が受けられます(更正手続き)。5年以内に見た目を主とした治療でなく、高額な治療をされて確定申告をしていない方は、医療費控除を検討ししましょう。
記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。