■目次
インプラントとブリッジ5つの違い
歯を失った場合の選択肢は
(1)インプラント
(2)ブリッジ
(3)部分入れ歯
(4)歯列矯正
の4つが挙げられます。
今回は(1)インプラントと(2)ブリッジの違い5つをご紹介します。
(1)インプラントとブリッジの治療の流れと期間
インプラントの治療の流れと期間
インプラント治療の流れ
(1)初診
(2)診断・精密検査
(3)インプラント体の埋め込み手術(外科手術)
(4)仮歯の作成
(5)被せ物(上部構造)の取り付け
(6)定期検診
インプラントは健康でなければ治療を進めるのが難しい場合があり、(2)の診断や検査で虫歯や歯周病などの異常が見つかった時は、治療を行ってからインプラント治療を開始する事があります。そのため、個人差はありますが(3)のインプラント体の埋め込み手術までの期間が延びてしまう場合があります。
(3)の外科手術後、インプラント体が骨に結合するまでに上顎で4~6ヵ月、下顎で2~4ヵ月程度かかります。インプラントの治療期間はおよそ半年程度が目安となります。
ブリッジの治療の流れと期間
ブリッジ治療の流れ
(1)初診
(2)診断・検査
(3)支台歯(土台)の形成・型取り
(4)仮歯の作成
(5)ブリッジの装着
(2)の検査では、失った歯の両隣の歯が、ブリッジの土台として利用できるかを調べます。土台とするために歯を形成したら、1~2週間仮歯をして過ごす場合があります。その後、最終的な被せ物を作るために歯型を採得して、仮歯を外し、ブリッジの装着をして終了です。ブリッジの治療期間は2週間~1ヵ月程度です。ブリッジを被せる歯の状態などによっては、ブリッジ装着までに長い期間がかかる可能性があります。
また、ブリッジは失った歯の両隣の歯で支えるため、1番奥の歯を失った場合には手前2本の歯を土台とする必要があります。遊離端ブリッジといいます。
(2)インプラントとブリッジの噛み心地の違い
インプラントの噛み心地
噛んだ時に歯の支えとなる、歯の根っこの部分をインプラントを骨に埋め込む事で補うため歯が安定し、天然歯(自分の歯)と同じ様な噛み心地を得られます。
ブリッジの治療の流れと期間
自分の歯でできた土台の上にブリッジを被せるので、天然歯に近い噛み心地を得られます。しかし、噛んだ時に土台となっている歯に負担が集中するため、力に耐えきれず将来的に土台となっている歯がぐらついたり、歯根が割れてしまうなどの可能性があります。その場合は、ブリッジがぐらついてくる、痛みが出てくるなどの症状や影響がでる場合があります。
(3)インプラントとブリッジの見た目の違い
インプラントの見た目
インプラント体と上に被せる人工歯の間をつなぐアバットメントは被せた人工歯によって隠れるため、天然歯同様のより自然な見た目にすることができます。インプラントは一部を除き、自費(自由)診療での治療となります。
ブリッジの見た目
ブリッジは治療が、公的医療保険が適用される治療と自費(自由)診療の治療があります。公的医療保険が適用される治療の場合、前歯・犬歯・第一小臼歯(前から4番目の歯)は白い歯(プラスチック)で治療が可能ですが、第二小臼歯(前から5番目の歯)からは金属の素材のみの適用となります(2020年現在)。ただし、条件によっては、5番目の歯に白い被せ物も可能です。例えば、5番目の歯が欠損していて、7番目の歯が4本残っており、4番目と6番目の歯を削って3ユニットのブリッジを作製する場合などです。
値段は上がりますが、自費(自由)診療の場合は全ての歯をセラミックやジルコニアなど金属以外の素材の選択肢の幅も広がるので、より自然な見た目にする治療が可能です。
(4)インプラントとブリッジに起こるリスクの違い
インプラントのリスク
・インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎
インプラント治療後のメンテナンスを怠ってしまうと、埋め込んだインプラント体と歯茎の隙間に歯垢や歯石などの汚れ(細菌)がたまり、炎症を起こしてしまう場合があります。インプラント周囲炎、インプラント周囲粘膜炎といいます。炎症の度合いで使い分けます。
炎症が進行してしまうと、インプラントを支えている骨を溶かしてしまいます。歯周病と似ていますがインプラント体には神経がないため痛みを感じないので、進行していることに気づきにくい傾向があります。
・インプラントの脱離
インプラント周囲炎以外に、就寝時の歯ぎしりや噛みしめる癖など通常の口の動きとは異なる動きや過剰な力が加わることがある場合、インプラントが緩む、人工歯破損などの原因となります。
・骨量の不足
骨量が不足したままインプラントを埋め込むと、インプラント体と骨がうまく結合しない場合があり、治療期間が延びてしまいます。
ブリッジのリスク
・支台歯の耐久性
個人差がありますが、ブリッジの土台となる部分の支台歯は年数が経つにつれて状態が悪くなってしまう場合があります。原因として、食事中の咀嚼や無意識に行う歯ぎしりや食いしばりなど、欠損部分の歯の負担を支台歯で補っている(ブリッジは歯3本分の力を歯2本で受けている状態)ことや、歯周病や被せ物の中で虫歯になること(2次う蝕)が挙げられます。
・健康な歯を削る
ブリッジは土台になる歯が必要なため、周りの健康な歯を削らなくてはいけません。健全な歯を土台にし、上記のような影響で土台に負担がかかり、結果として歯を傷めてしまうという場合があります。
Point!
インプラント治療やブリッジ治療後は、それぞれ適した歯ブラシや補助用具を使用してお口の中の清潔を保ちます。歯ぎしりや噛みしめなどがある場合はマウスピースを使用する事によって負担を減らします。
(5)インプラントとブリッジの寿命の違い
インプラントの寿命
個人差はありますが、10~15年経過したインプラントの残存率は約90%といわれています。インプラントの寿命は、噛む力や癖、インプラントを取り巻く歯周組織の状態により早まる可能性があります。
ブリッジの寿命
ブリッジにした場合は目安として10年程度です。ブリッジは周りの歯を削り土台にするため、健康な天然歯の寿命が早まってしまう場合があります。また、ブリッジは清掃が難しく、歯垢が溜まり、虫歯や歯周病になってしまう可能性があります。虫歯や歯周病が進行してしまうと土台が安定しなくなるため、長持ちさせる事が困難になってしまいます。
悩んだら、セカンドオピニオンを利用するのも解決策!
「インプラントにしたいけど費用が高額」、「ブリッジは健康な歯を削ってしまう」など
インプラントにするべきなのか、ブリッジにするべきなのか迷うところですよね。
治療方針やメリット・デメリットで悩んでいる場合にはセカンドオピニオンを利用するのもひとつのポイントです。
*上記の内容は一部変わることがありますので、詳しくはかかりつけの歯科医院にお尋ねください。
歯科医院紹介ページから相談ができます
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記事監修
歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。