第38回 IDS 2019
(ケルン国際デンタルショー)
視察レポート

2019年3月12日(火)から16日(土)の期間開催されているIDS 2019(ケルン国際デンタルショー)。

IDS(International Dental Show)は2年ごとに、ドイツのケルンで行われている歯科業界では世界最大規模の展示会です。
世界中の企業やメーカーから革新的な最新技術や製品が発表され、専門販売業者や医療機関従事者から、毎回大きな注目が寄せられています。

第38回 IDS 2019 (ケルン国際デンタルショー) 視察レポート

会場は「ケルンメッセ(Koeln Messe)」、ヨーロッパの中心地にある世界でも有数の規模を誇る見本市会場です。
284,000m2の屋内展示スペースと100,000m2の屋外エリアからなり、レストランやカフェも多数あります。

大聖堂のあるケルン中央駅より会場まではドイツの大都市圏を結ぶ鉄道ライン=ルールSバーンで1駅2分程にあります。駅と会場を結ぶライン川に架かるホーエンツォレルン橋は歩行者用もあり、中央駅から会場まで歩くと20分程度となります。

第38回 IDS 2019 (ケルン国際デンタルショー) 視察レポート

展示会場は12ホールに分かれており、世界中から60ヶ国、2,300社もの企業やメーカーが出展、157ヶ国から約155,000人の業界関係者が来場していました。

会場には数多くの機器や材料が展示され、日本未発売のものや、これから発売されるもの、海外では多く利用されているものを目にすることができました。
どの企業も情報発信に力を入れている一方で、情報を入手しに来た来場者の姿勢にも真剣さが伝わってきました。

開催地:ケルン地区について

ケルン地区

ドイツ西部、ライン川流域に位置し、長い歴史を誇る世界遺産のケルン大聖堂(ゴシック建築の最高峰)や伝統的なカーニバルなど、季節を問わず魅力的な見所が多い国内4番目の大都市です。

オーデコロン発祥の地や、地ビールのケルシュの産地としても有名で、年間を通して世界各国から多くの観光客が訪れます。

IDS 2019で注目を集めたメーカー・企業

1.3SHAPE / TRIOS4 (口腔内スキャナ)

3SHAPEでは最新の口腔内スキャナ(TRIOS4)のお披露目がありました。

最新型の口腔内スキャナは、従来のスキャナ機能以外に、治療計画のシミュレーションや、虫歯の診断をすることまでできるところが特長として挙げられていました。
また、これまでは、レントゲン撮影で虫歯を確認していましたが、X線の被曝がないので、特に妊婦さんにとっては大きなメリットです。

1.3SHAPE / TRIOS4 (口腔内スキャナ)1.3SHAPE/TRIOS4 (口腔内スキャナ)

2.EYRA / VR(インプラント埋入手術)

2.EYRA / VR(インプラント埋入手術)

EYRAのブースでは、VRを活用したインプラントの埋入手術を体験できました。

歯学部の教育現場での利用や、インプラント手術の経験が浅い歯科医師の教育用ツールとしても活用しそうです。
実際のインプラント手術に沿い手を動かすので、ワークフローが頭に入りやすい印象を受けました。

3.CURAPLOX / 歯間ブラシ

CURAPLOXでは、歯に付いた汚れを効率的に落とせる歯ブラシや歯磨き粉を展示していました。

歯ブラシの毛先はしなやかで、歯茎に当たっても全く痛くありませんでした。
歯間ブラシはサイズで色分けされており、歯の隙間の大きさに合わせて選ぶことができます。

3.CURAPLOX / 歯間ブラシ3.CURAPLOX/ 歯間ブラシ

4.LAON PEOPLE / ディープラーニングセファロランドマーク

4.LAON PEOPLE / ディープラーニングセファロランドマーク

LAON PEOPLEは、AIによる矯正歯科治療の診断ツールを展示していました。

矯正治療前に撮影したセファロX線画像の上に打つ目標点(Ex.眉間や鼻の下など)をAIの活用で瞬時に、かつ自動的に配置することができます。矯正歯科治療を始める前の診断ステップがより早くなります。

5.DTX STUDIO / X-GUIDE

5.DTX STUDIO / X-GUIDE

DTX STUDIOは、コンピュータ画像により正確なインプラント埋入を助ける機器を展示していました。

コンピュータが、インプラントを打つ位置や角度、深さなどをガイドしてくれるため、サージカルガイドを前もって作る必要がありません。
CTを撮影した直後に、インプラント手術を受けることも可能になります。

6.ヨシダ / NANOPICTO (根管内カメラ)

6.ヨシダ / NANOPICTO (根管内カメラ)

ヨシダは、歯の中の神経や血管が通っている狭い根管を撮影できるカメラを展示していました。

0.4mm程の直径であれば、歯根の先端までカメラを通すことができます。今まで見ることができなかった根管の中を、モニタを通して見ることができます。

7.GC / 口腔内機能低下症

GCは、2018年の歯科の診療報酬改定で新たに追加された病名「口腔内機能低下症」の検査に関連する製品を紹介しました。

噛む力を測定する検査キットや、舌の力を鍛える商品などが展示されていました。

7.GC / 口腔内機能低下症7.GC / 口腔内機能低下症

8.HUFRIEDY / ドクターアシストロボット

8.HUFRIEDY / ドクターアシストロボット

HUFRIEDYでは、歯石を取り除くための歯科器具以外に、歯科器具をドクターに手渡すためのロボットの展示がありました。

歯科衛生士が不足している昨今、ドクターアシストは将来ロボットが担うかもしれません。

9.EMS / GUIDED BACTERIA THERAPY(GBT)

EMSでは、GBTというラバーカップによる歯面清掃や超音波スケーラーによる歯石除去に極力頼らない歯のメインテナンス方法を紹介していました。

ラバーカップや超音波スケーラーを歯の表面に当てると削れてしまうそうなので、今後日本における歯のメインテナンスでGBTの手法が普及していくかもしれません。

9.EMS / GUIDED BACTERIA THERAPY(GBT)9.EMS / GUIDED BACTERIA THERAPY(GBT)
9.EMS / GUIDED BACTERIA THERAPY(GBT)9.EMS / GUIDED BACTERIA THERAPY(GBT)

10.松風 / EYESPECIAL (カメラ)

松風では、一眼レフのカメラと比較し、軽量でコンパクト、かつ操作しやすいEYESPCIAL最新版の展示がありました。

実際にEYESPCIALを使用している先生のお話を聞いたところ、歯を削った後の修復物のシェード(色)合わせがしやすいという意見がありました。

10.松風 / EYESPECIAL (カメラ)10.松風 / EYESPECIAL (カメラ)

IDS 2019に参加して

IDS 2019に参加して

今回のIDS2019でも2017年と同様に、歯科のデジタル化がさらに進展している印象を受けました。

印象材で歯型を採り、石膏模型を作製するステップは今後無くなっていくと思います。
石膏模型を口腔内スキャナで撮影後に破棄すれば、模型の保管スペースに場所を取られることも無いでしょう。
デジタル化により、歯科医療がどんどん便利になっていくことを感じました。

レポート:インプラントネット運営部