注目を集めたメーカー・企業
Nobel Biocare
インプラントの主力メーカーの一つであるノーベルバイオケアでは、IDSで新製品を発表することが事前に公式サイトにて告知されており、今回の最注目ブースのひとつでした。
ブースの大きさは企業により異なり、発展ぶりの指標のひとつにもなっていたのですが、昨年、Kavoデンタルシステムズと同じダナハーグループ傘下に参入したこともあり、2社のブースが隣り合い、一部を半ば共有するような形で広大な面積を独占していました。
発表が告知されていた新製品は、斜めに回転させながらネジ締めの作業ができる、インプラント用のドライバーでした。ネジの頭を包み込むような形状により、歯車の要領でネジを回すため、斜めに埋まっているインプラントも垂直方向からネジ締めを行う事が可能です。アナログですが画期的な発想で、ノーベルバイオケア独自のシステムであり、斜めに埋め入れることを特色とするAll-on-4の手術はかなりスムーズになりそうです。
しかし、最も興味深かったのはKavoとの合同開発による画像処理システムです。インプラントのシミュレーションも可能で、Kavoのスキャニング技術とノーベルバイオケアのガイドシステムがうまく融合した形です。まだプレリリースですが、年内の公開を予定しているそうです。
straumann
世界70ヶ国以上にインプラントを提供しており、現在世界シェア第1位のマーケットを持つストローマンも口腔内スキャナーを発表していました。
治療中にも操作が簡単にできるように、画面にタッチせずとも音声や手をかざすだけで操作ができ、フルカラーに対応しているところが従来との大きな違いでした。
スキャナーも小さめになっており、欧米人と比べて手や口が小柄なアジア人にも使いやすいものになっていました。
また、以前は連続する静止画でスキャンしていましたが、動画でスキャンしているので精度と速度が増しており、従来のスキャナーには必要だったパウダーを必要とせず、スキャナーがより簡単にできるようになっています。
持ち運びができることもこれからの治療の幅を広げていくものになります。
デジタル技術がどこの企業も重要視されているのがよく分かり、これからは印象を採るのではなく、口腔内をスキャンし、そのデータをもとにガイドや補綴物も作っておいてから、手術に臨めるようになるのだと思いました。
Dentsply Sirona
シロナは、ドイツの130年以上の歴史ある歯科用機器専門メーカーの一つで、シロナデンタルシステムズ株式会社と、デンツプライ三金株式会社は合併し、日本国内における会社名がデンツプライシロナ株式会社になりました。
Dentsply Sironaのブースでは、より精密に削り出しができるセレックで、被せ物の製作の実演を行っていました。
インプラント治療の埋め入れから被せ物を安全かつ正確に行うためセレックを使用します。CTやCAD/CAMから、口腔内を3次元の立体的なデータとして分析し、インプラントの治療計画を立て、インプラント埋め入れガイドの製作、インプラントを埋め入れ後の仮歯、被せ物の製作が可能です。
A.B. Dental
昨今インプラントメーカー業界において急成長を遂げているイスラエルですが、今回はイスラエルからの出展が急増し、2015年のIDSでは中東・アフリカ諸国を合わせて56社でしたが、今回はイスラエルだけで50社が出展していました。
その中でもA.B.Dentalは、昨年世界で初めての3Dプリントによるインプラントシステムを提供するイスラエルの企業です。3Dプリンターで歯のモデルを作成し、更にそのモデルに合わせた手術用ガイドも作製が可能です。スキャンデータはCTから取得するため、印象採得は必要ありません。
3Dプリンターやソフトウェア等は販売しておらず、CTスキャンデータをA.B. Dentalのサービスセンターへ送付するとインプラントと手術用ガイドが届くというシステムになっていますが、実際の手術まで手作業が発生せず、全ての準備がバーチャルで完結することは、医療における3Dプリントの可能性を強く感じさせるものでした。
また、同社は歯科インプラントに限らず、頭部や顎など、すべての骨の欠損部位に対応しているそうです。