日本口腔インプラント学会のインプラント専門医とは

歯科医師の経歴でよく見かける「口腔インプラント専門医」は、だれでも取得できる訳ではありません。ここでは「口腔インプラント専門医」について、どのような条件を満たした歯科医師が取得できるのかをご紹介します。

更新日:2021/12/02

日本口腔インプラント学会のインプラント専門医とは

■目次

  1. インプラント専門医とはどんな制度?
  2. 資格認定試験を受けるためには?
  3. 有効期限は5年間
  4. 記事監修

インプラント専門医とはどんな制度?

インプラント専門医とはどんな制度?

資格認定制度

日本口腔インプラント学会のインプラント専門医とは、社団法人日本口腔インプラント学会が、インプラント治療の知識や経験を持つものとして認めた歯科医師に交付する資格認定制度です。診査・試験を経て合格した歯科医師に、インプラント専門医として認定書が交付されます。この資格は、インプラントの標準的な診断、治療方法の選択、適切な処置が行える歯科医師であることを見極める一つの指標で、インプラント治療の技術があることを正しく評価するものではありません。


社団法人日本口腔インプラント学会とは?
口腔インプラントに関する研究発表・知識の交換・会員同士や各医歯学系学会との連携協力等などを行うことにより、インプラント治療の発展と向上を目的とする団体です。また、国民の福祉に貢献することも目的としており、「公開市民フォーラム」などを開催し、社会への理解と普及を図っています。社団法人日本口腔インプラント学会の会員対象は、主に歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連学校の生徒などが対象です。現在では会員数が1万人以上いるとされています。

社団法人日本口腔インプラント学会のHPはこちら>>

資格認定試験を受けるためには?

インプラント専門医の資格認定試験は誰でも受けられる訳ではありません。社団法人日本口腔インプラント学会で定めた条件を満たしている歯科医師だけが認定試験を受けることができます。診査基準(一部抜粋)は下記のようなものがあります。

(一部抜粋)
1. 同学会に5年以上継続した会員であること
2. 同学会の研修施設(専門医を養成する“指導医”が在籍している研修施設)で通算して5年以上在籍し、インプラント治療に必要な診断と、治療の基本的な技術を習得する講習や研修を受けていること
3. 日本歯科医師会会員であること
4. 同学会が行う、専門医教育講座を3回以上受講していること
5. 同学会の学術大会に8回以上参加していること
6. 同学会の定めた研修を修了していること。
7. 口腔インプラント指導医2名(内1名は施設長)の推薦が得られること
8. 下記のインプラント治療の経験があること
治療が終わりメインテナンスへ移行して3年以上経過した症例を、20症例以上経験していること。(1顎1症例とし、上下顎にインプラントを埋入した症例では、2症例とみなす。)
症例には、多数歯欠損(1顎7歯以上欠損)症例で全顎にわたる症例を3症例以上含んでいること。
9. 同学会が行うケースプレゼンテーション試験(治療が終わりメインテナンスへ移行して3年以上経過した1症例を発表)に合格している。

10. 同学会の学術大会において、2回以上発表を行っていること。
11. 口腔インプラントに関する論文を委員会が認める雑誌に1編以上発表していること。

この条件を満たし、診査を通過した歯科医師は、筆記試験と面接試験のある資格認定試験を受けられます。面接試験は、予め申請者から提出された症例(治療内容)について口頭試問が行われ、この試験に合格者するとインプラント専門医としての認定書が発行されます。

有効期限は5年間

有効期限は5年間

この認定の有効期限は5年間となっており、インプラント専門医の更新には、同学会で研究や治療内容の発表や論文投稿や研修に参加など、同学会の定めた業績を新たに満たすことが必要です。

更新の審査
更新の審査内容は、専門医資格取得後に3年以上経過した3症例(3つの治療内容)のレポートによる報告としています。インプラント専門医取得後も、知識と技術を習得し続ける努力が必要です。

インプラント治療を検討するときには…
インプラント専門医の資格は、取得することだけではなく、資格を持ち続けるためにも、日々の努力が必要です。日常の診療だけではなく、学会への参加や論文の発表などを通して、自らの知識を増やし、よりよい治療を心掛けている歯科医師が持つ資格であることがわかります。

インプラント治療を検討している方は、日本口腔インプラント学会のインプラント専門医がいる医院であるか、インプラント医院を選ぶ際の判断材料の一つにしてみてはいかがでしょうか。

記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。