治療前の疑問・不安を解決!知っておくべき5つのポイント

歯医者に言ったらすぐにインプラント手術は受けられるものでもありません。歯医者でも、自分でも前準備としてに必要なことをご紹介ます。精密検査やカウンセリング、生活習慣の見直しなど、少し面倒だと感じるようなこともあるかもしれませんが、どれも、治療後にむけて必要なことです。

更新日:2019/09/30

■目次

  1. インプラント治療の前に歯科医院で行うこと
  2. 口腔内環境を整える
  3. 患者様が治療前に準備しておくと良いこと

インプラント治療の前に歯科医院で行うこと

精密な術前の検査
インプラント治療を行う前には、必ず事前に検査を行います。
検査方法は歯科医院により様々ですが、検査の種類は、一般的に下記の4つの検査を行います。
手術のリスクを最小限に抑え、より安全な治療を行うためには、入念な検査を行うことが大切です。

● 血液検査
糖尿病や高血圧症などの全身疾患は、重度の場合インプラント手術のリスクファクターとなる場合もあります。感染症などを含め、インプラントに差し障りのある疾患が見つかれば、そちらの治療を優先させます。

● 口腔内検査
歯ぐきの状態や、咬み合わせの診査をして、インプラントの適切なサイズや埋め込む位置を検討します。歯周病や虫歯、咬み合わせの問題などが残っていれば、インプラント治療を始める前に必要な治療も治療計画に含める必要が出てきます。

● レントゲン検査
インプラントの埋め込むためには、顎の骨に十分な高さと厚みがあることが大切です。レントゲン検査で顎の骨と歯の平面的な形状を確認します。

● CT検査
CTとはコンピュータ断層撮影(computer tomography)の略で、X線とコンピュータを使って体の断面を輪切りの状態(断面画像)で見ることが可能です。
断面画像からは、体の各臓器の形態、大きさ、位置などを確認することができます。
CT検査のデータを元にコンピュータ上でシミュレーションを行うこともあります。

上記のような検査の結果をもとに、治療計画を立てます。

口腔内環境を整える

歯周病の歯や、歯周病の原因となる虫歯がある場合は、手術の前の治療をしておきます。
歯周病の細菌は、歯を支える骨を破壊する病気です。歯周病の治療をしないままインプラント治療を行うと、インプラントを埋め入れた周囲の骨が歯周病に感染する可能性があります。
歯周病に感染してしまうと、天然の歯が抜けるのと同様にインプラント体が抜け落ちてしまう危険があります。

また、歯ぎしりや食いしばりによってインプラントに問題を起こす場合がありますので、インプラントの治療を行う前にかみあわせのチェックと治療を行うことも大切です。


骨の再生などの補助手術を行う
インプラント体を埋め入れる部分の骨が高さが足りなかったり、厚みが足りない場合には、骨の再生や移植の手術を事前に行います。

>> インプラントの補助手術について詳しくはコチラ

患者様が治療前に準備しておくと良いこと

治療方針を理解する
歯科とはいえインプラントは手術を受けます。
そのことをよく理解した上で、歯のケアなど自分でできる部分は行い、医師に受けた指導はしっかり守りましょう。
また、インフォームドコンセント(説明と同意)という言葉が叫ばれているように、ご自身の現状をご理解いただかないまま治療を受けることは、現代の医療機関としてあってはならないことです。
患者様は、不安な点、納得のいかない点があれば率直な意見を伝えるようにしてください。歯科医と患者様がお互いに納得したうえで、治療を進めていくことが納得の治療結果につながります。

生活習慣を見直す
アルコールやタバコなどを、なかなか生活から外せない人がいると思います。
しかし、治療中の飲酒や喫煙は、骨とインプラント体の結合に悪影響を与えてしまう可能性が高いのです。

飲酒・喫煙しているからといって、インプラント治療ができないわけではありませんが、治療中も同じように飲酒・喫煙続けられる場合、失敗の可能性が高くなることは、ご理解いただく必要があります。
急にきっぱりやめられない人もいますので、治療前、もしくは治療を決めたときから少しずつ減らしていくのも、ひとつの方法です。


その他、手術前には体調を整えるようにしましょう。
ひどい風邪などで高熱が出た際などは手術延期となります。仮に軽い体調不良であっても、術後治りや術後症状に対して悪影響が出る可能性もありますので、体調管理をしっかり行うことが大切です。

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記事監修

歯科医師 古川雄亮 先生
国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事した。歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加した。 2019年10月10日Natureに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。